希少職種図鑑 [美容師]

職種概要

派遣中:1人
累計:63人
分類:人的資源
活動例:美容師育成・指導教員育成のための技術指導など
類似職種:—

※人数は2021年6月末現在。

話=相馬 円さん(モンゴル・2017年度2次隊)

Q メインの活動は?

配属先の授業でパーマの技術を指導する相馬さん

 私が配属されたのは、中学校を卒業した人が入学できる職業訓練校の美容コースです。コースにはカウンターパート(以下、CP)となる女性の現地教員がいましたが、彼女は私の着任時、男性カットの技術は非常に優れていたものの、それ以外の技術は知識すら乏しいという状態でした。そのため、授業を共に行ったり、勉強会を行ったりして彼女に不足している技術を伝えることが、メインの活動の1つとなりました。
 また、配属先には美容技術の教科書がなかったことから、着任後まもなくその作成を開始し、任期終了の直前に製本までたどり着くことができました。その間、単元の一部を小冊子にまとめては、授業で活用していました。日本理容美容教育センターに許可をいただき、同センターが発行する美容実習の教科書をベースにモンゴル語版の教科書を作成しました。

Q 活動での最大の困難は?

 美容技術は多種の細かな作業の積み重ねであるため、教科書の作成にあたっては、それらを現地の人に正確に伝えたかったのですが、モンゴル語で表現することは容易ではありませんでした。作成した原稿をCPに見せると、当初は「理解できない」と指摘されてばかりでした。

Q どう対応しましたか?

 任地にいるモンゴル人の日本語教師を紹介していただき、その方に翻訳のポイントを伺うことで、どのような表現がモンゴル人にわかりづらいのかを理解していきました。その結果、最終的にはCPからも「理解できる」と言ってもらえるような教科書に仕上げることができました。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

 美容師という職種は職業訓練機関への配属が一般的かと思いますが、資機材が不足しているなど、質が高い授業をするための環境が整っていないケースが多いと思います。私の配属先も、着任当時はウィッグやヘアスチーマーなど美容の基本技術を教えるために必要な物がなく、外部の大学などの支援でそれらを入手して、本格的な授業が行える環境をつくるまでに1年ほどかかってしまいました。しかし、その間にCPや生徒たちとの関係を構築するよう努めたことで、後の活動がスムーズに進んだという実感があります。日本の細やかな美容技術や接客のノウハウは、途上国で重宝されることと思います。ご自身のこれまでの経験を最大限に生かし、有意義な2年間にするためにも、最初は焦ることなく、現地の人との人間関係をじっくり育んでください。

相馬さん基礎情報





【PROFILE】
1979年生まれ、茨城県出身。美容学校を卒業後、美容師として美容院に勤務。2017年10月、青年海外協力隊員としてモンゴルに赴任。19年10月に帰国。

【活動概要】
トゥブ県職業訓練校(トゥブ県ゾーンモド市)に配属され、主に以下の活動に従事。
●同僚教員への美容技術(応用技術)の指導
●美容技術の教科書の作成
●日本の美容技術に関する授業の導入支援

知られざるストーリー