希少職種図鑑 [食品加工]

職種概要

派遣中:0人
累計:192人
分類:鉱工業
活動例:生産工程の分析と改善指導、新製品の開発支援
類似職種:農産物加工、水産物加工、畜産・乳製品加工

※人数は2021年7月末現在。

話=森田 翠さん(フィリピン・2017年度1次隊)

Q メインの活動は?

配属先の同僚たちと森田さん(右から4人目)

 配属されたのは、企業の支援などを行うフィリピン貿易産業省の地方出先機関で、所属は食品製造業への支援などを行う産業振興課でした。任期中に特に力を入れて取り組んだのは、フィリピン保健省食品薬品局が食品衛生の管理状況などを審査して食品製造業者などに出す営業許可(LTO)の取得を支援することです。
 食品製造業者に対するLTO取得の支援は産業振興課の所掌業務でしたが、着任当時、課にはその取得手続きに詳しいスタッフがいませんでした。そこで私は着任するとまず、半年間ほどかけて管轄地域の食品製造業者を回り、食品衛生に関するセミナーを実施するなどして各業者の食品衛生に関する情報を集めました。その後、カウンターパート(以下、CP)や同じ島に住む食品加工隊員と共に、食品衛生に関するガイドブックを作成しました。その内容は、LTO取得のために満たす必要がある食品薬品局の「適正製造規範(GMP)」や、取得の申請に必要な書類などの解説が中心で、イラストやマンガを用いてできる限りわかりやすいものになるよう心がけました。約1年間をかけて完成させたガイドブックは、管轄地域の食品製造業者や貿易産業省の各地方出先機関に配布したほか、その内容を解説するセミナーも食品製造業者を対象に実施しました。

Q 活動の最大の困難は?

 ガイドブックは私たち協力隊員が原稿を書き、CPに英語の表現を中心にチェックしてもらうという手順で作成したのですが、多忙なCPにチェックの時間をとってもらうのが容易ではありませんでした。

Q どう対応しましたか?

 CPがオフィスで通常の業務を行っている間は、ガイドブックのために時間をとってもらえる余地がほとんどなかったため、CPの出張について行ってその行き帰りなどの隙間時間にチェックしてもらう、あるいはプライベートで一緒に過ごす時間を増やしてそこでチェックしてもらうなどして、完成に漕ぎ着けることができました。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

「食品加工」は専門的な知識や技術が必要となる職種ではありますが、立てた活動目標を達成するためには、専門性を超えた力、特に周囲の人の協力を取り付ける力などが重要になるはずです。「自分の専門性を発揮しよう」と1人でがんばってしまうのではなく、時には助言を求めたり、手伝ってもらったりすることで、周囲の人たちと良い関係が生まれ、活動もスムーズに進むと思います。

森田さん基礎情報





【PROFILE】
1986年生まれ、和歌山県出身。県の行政獣医師として食品衛生と動物愛護を担当した後、2017年7月、青年海外協力隊員としてフィリピンに赴任(現職参加)。19年3月に帰国し、復職。

【活動概要】
フィリピン貿易産業省のカピス州事務所(ロハス市)に配属され、主に以下の活動に従事。
●中小規模の食品製造業者を対象とする、食品衛生の管理に関する指導
●食品衛生が関連する営業許可の取得に向けた食品製造業者への助言

知られざるストーリー