希少職種図鑑 [鍼灸マッサージ師]

職種概要

派遣中:0人
累計:57人
分類:保健・医療
活動例:あん摩・マッサージ・指圧の実技指導や患者への応対の教育
類似職種:—

※人数は2021年7月末現在。

話=両角大智さん(ケニア・2017年度2次隊)

Q メインの活動は?

配属先で生徒に指圧の指導を行う両角さん

 配属されたのは視覚障害者と聴覚障害者が通う専門学校です。主な活動は、視覚障害者を対象とする1年間の指圧コースで理論や実技を教えることでした。任期の1年目は4人、2年目は6人の生徒がコースに在籍していました。配属先には指圧の教科書がなかったため、英語で原稿を執筆し、点字翻訳者や生徒の協力を得て英語の点字の教科書も作成しました。指導した生徒たちの一部は、その後、自宅で開業したり、スポーツジムのマッサージルームに就職したりして、指圧師として働いています。

Q 活動での最大の困難は?

 生徒たちを指導することには大きな困難はありませんでしたが、私が帰国した後に指圧コースで教員を務める人をどう確保するかという課題の解決には苦労しました。私の赴任当時、コースに現地教員はおらず、任期の半ばを過ぎても後任隊員が確保できるめどが立っていませんでした。何か手を打たなければ私の帰国と同時にコースは閉鎖せざるを得ないという状況のなか、配属先の校長たちとこの問題について話し合い、ほかのコースの教員を異動させるか、新たな教員を配置するべきだと提案しましたが、適任者の確保は容易ではない様子でした。

Q どう対応しましたか?

 コースで学んでいた生徒の1人(以下、Aさん)に同意を得たうえで、彼を卒業後に教員として採用することを校長に提案しました。任期の残りが半年ほどとなったころ、校長はAさんの力量次第で採用すると決断してくださり、その後3カ月間、指圧の理論や技術だけでなく、その指導方法も伝授していきました。そうして無事に採用が決まり、現在もAさんが教員となって配属先の指圧コースは継続されています。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

 人と人が触れ合って癒す日本の指圧技術は、ケニアの人々にも好評でした。私は教え子のすべてを無事に卒業させ、指圧師として自立させることはできませんでしたが、卒業した教え子たちが患者さんに、あるいは身近な人に指圧を行い、喜んでもらっている様子を見るたびに、やりがいを感じました。同じ「鍼灸マッサージ師」という職種であっても、どこに達成目標を置くべきかは、隊員自身の指導力、教え子の適性、配属先の仕組みなどさまざまな要素に応じて異なってくると思います。試行錯誤しながら自分の状況でもっとも適切な達成目標を見つけ出し、健康に気をつけながらその達成に向けた活動を楽しんでください。

両角さん基礎情報





【PROFILE】
1982年生まれ、長野県出身。長生学園あん摩マッサージ指圧師科を卒業後、 あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得。整体院と整形外科内科医院に勤務した後、2017年10月、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。19年10月に帰国。

【活動概要】
シクリ視覚・聴覚障害者技術訓練専門学校(ホマベイ・カウンティ)に配属され、主に以下の活動に従事。
●指圧の理論・実技の指導
●指圧の理論・実技の教科書の作成
●指圧の指導者の育成
●配属先外での指圧の広報

知られざるストーリー