この職種の先輩隊員に注目!~現場で見つけた仕事図鑑

冷凍機器・空調

  • 分類:鉱工業

   冷凍機器・空調整備知識・技術の向上のため、教育施設や公的機関で指導を行う。

  • 派遣中:0人(累計:139人)
  • 類似職種:工作機械、建設機械、電気・電子機器

※人数は2021年8月末現在。

前田司さん
前田司さん/パラオ・2018年度4次隊

富山県出身。大学院で熱工学を研究した後、電気機器メーカーに10年間勤務し、主にエアコンの設計開発を担当。新しいことに挑戦したいと思っていた頃、協力隊の募集で「冷凍機器・空調」職種があることを知り応募。2020年3月の一時帰国後はJICA北海道(帯広)で国内協力員として勤務中。

機器の実物も工具もない環境で知識と技術をどう伝えていくか

Q. メインの活動は?

「フレアツール」の使い方を生徒に指導する前田さん

冷凍機器取り扱いの必携アイテム「フレアツール」の使い方を生徒に指導する前田さん(左)

パラオ唯一の高等教育機関であるパラオ地域短期大学(PCC)に配属され、エアコンの修理やメンテナンスを学ぶ空調科で授業のサポートをメインに行っていました。要請内容は教材の作成や授業の運営・改善でした。加えて、生徒が社会に出たときや、私生活でも有効な5S(※)の指導に、大学関係者を巻き込みながら取り組みました。

※5S:「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の頭文字のSをとったもの。 職場環境の維持改善のスローガンとして用いられる。

Q. 活動の最大の困難は?

教材と工具の不足です。エアコンの仕組みを理解するには実物や模型に触れることが理想的なのですが、大学にはそれが完備されていません。それどころか最低限の工具すらないという状況でした。苦肉の策として動画を見せながら仕組みを説明したのですが、私自身がエンジニアなので、やはり実物に触ってこそという思いもありました。そこで、使わない模型やサンプルを提供してもらえないか日本の企業にアプローチ。同時に、物が散乱し放棄されたままの現地の状況を改善しようと、他の学科を巻き込んで5Sの取り組みも始めました。しかし、ちょうどその頃にコロナ禍のため一時帰国となってしまいました。

Q. 現在は一時帰国中ですが、 再赴任に向けての思いは?

日本に戻って考えたのは「なぜ空調科は人気がなく学生が少ないのか」ということです。実はパラオではエンジニアへの関心が低く、ほとんどが外国人です。この状況を変えなくては、学生も集まらないしエンジニアも育ちません。一方で、今後パラオをはじめ途上国では空調機器の需要は増えていきます。まずは空調機器のエンジニアに興味をもってもらうための取り組みや、教育プログラムが必要なのではないか、パラオに再赴任できたら、それも踏まえて活動を見直したいと考えています。待機中は現場での経験を積むためエアコンの据付工事も行っていました。パラオでは据付・修理がメインになるので、この経験を生徒や同僚に伝えていきたいです。

Q 派遣予定の同職種の隊員に メッセージをお願いします。

冷凍機器・空調は協力隊の中では希少職種ですが、長い目で見ると今後も必要とされる職種だと思います。皆さんの持つ知識・技術を任地での活動を通して広め、発展させていってほしいと思います。やりがいを感じながら楽しんで活動してください。

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