[特集]環境教育隊員に学ぶ、
活動がうまくいく3つのポイント

COLUMN

先輩隊員が伝授!

行き詰まったときの対処法

任地の人たちが必要性を感じづらい環境教育の現場では、活動方法や自分の存在意義に悩む人も多いだろう。
そこで「青年海外協力隊環境教育OV会」の皆さんにアンケートを実施。克服法を教えてもらった。
※フィリピン・元会長さん、べリース・木村さん、エジプト・しゅわわさん、ヨルダン・平間さん、
コロンビア・アルボさん、スーダン・ハーラさんの回答を加工・編集しています。

「すべき」をやめてマインドリセット

「課題を自分で見つけ、自分で活動内容を考える」ことに戸惑い、当初はなにをやってもうまくいきませんでした。やってよかったのは「マインドリセット」です。まず「自分は毎日環境にいいことをしている」と誇りを持ちます。そして挫折するのは期待を裏切られた時でその期待値を設定しているのは自分なので、目標設定をし直しました。「自分はこうあるべき、こうすべき」という考えを捨て、「自分が楽しいと思える活動」に切り替えました。活動先の役場を飛び出し、教育施設を訪ねたり、地元の人々と話をして存在を知ってもらうことから始めたところ、口コミで私の存在が知られるようになり、物事が好転しました。

複数の活動が心の支えに

複数の活動を同時並行で行うことで、少しでも進んでいる活動があれば、メインの活動がうまくいかない時期も前向きな気持ちになれました。

人物相関図で人間関係を整理

「味方」をたくさんつくるためには、相手の状況を把握することが必須です。そこで私はドラマのキャスト相関図のように関係する人たちの上司部下の関係・対立関係などを書き込み、視覚化しました。そうすることでそれぞれの人たちの興味関心や困っていること、求めていることが明確になり、自分の活動の目的や意義をあらためて整理することができました。

ホワイトボードで コミュニケーションが円滑に

私は常に携帯用のホワイトボードを持ち歩き、伝えたいことを文字やビジュアルにして示しました。相手にもボードに書き込んでもらえるので、自分も理解しやすく意思疎通に役立ちました。環境教育は対象者への教育以前に学習ツールを用意したり、活動場所を選定したりと、やるべきことがたくさんあります。たくさんの人にお願い事をするときにホワイトボードはお薦めです。

子どもたちの笑顔が励みに

もっと任地の人に共感し、褒めて認める関わりをすればよかったという反省があります。うまくいったのは、小学校で同僚と行った寸劇です。登場人物の中で環境に悪いことをしている人を探してもらい、その後、「じゃあ、何をどう変えたらいいだろう?」と質問をしました。環境問題もこうした寸劇にすることで子どもたちがアクティビティとして楽しんでくれます。彼らの笑顔が励みになりました。

仲間に聞いてもらう

結果を残そうと活動を急いだ結果、人間関係のトラブルが続いてしまいました。挫折しそうなときは活動先でできた友人や配属先の同僚、同期の隊員と話すことで大いに救われました。

インセンティブでやる気アップ

大学でリサイクルシステムの構築と運用や、ゴミ関連の啓発活動を行いました。ペットボトルのリサイクルにあたり、ごみ袋1袋分集めるといくらというようにインセンティブ付与を行うことにしたところ、多くの方が協力してくれるようになり、継続的に多くのペットボトルを集めることができるようになりました。インセンティブの内容は現地の人の意見を聞くことが大切ですが、これがあるとより多くの人を巻き込めると思います。

活動エリアを変えて視点を変える

活動当初は語学力不足もあいまって、周囲の協力を得にくい状況が続きました。自分がやりたい活動の目的や相手にとっての利益を伝える準備をしておけば、独りよがりにならずに早くから活動の理解者や協力者を得られたと思います。行き詰まったときは、今まで足を踏み入れたことのない場所に行ったり、新たな部署や団体を訪問したり、違う活動を取り入れてみたりと環境や行動を変えるよう意識したところ、視点が変わって道が開けました。

先進国の責任を再認識する

任地の方々の環境問題への理解が乏しく、周囲の協力が得られないと感じたときには「活動先である途上国の方が圧倒的に環境負荷が少ない生活をしていて、地球規模では私たち先進国が負荷をかけている。今後途上国が同じような状況にならないようにお願いしている」、と考えて活動するように心がけました。


Text=桜木奈央子

知られざるストーリー