PCの基礎知識・基本操作の指導、PCのメンテナンス・環境整備などの支援
※人数は2021年9月末現在。
岡山県出身。中学時代に協力隊に興味を持ち、一般企業で営業事務として3~4年勤務した頃「新しいことに挑戦したい」と応募を決意。PCインストラクターとして、ガーナ雇用・労働関係省管轄の職業訓練校に着任。帰国後は、JICA徳島で国際協力推進員として活動中。
TLMsのカードを並べ替え、キーボードの並び順を覚える生徒たち
配属先は、ガーナの小さな町にある4年制の職業訓練校。1・2年生必修のICT(情報通信技術)授業で1・2年生を担当しました。PCの基本操作を指導することが要請でしたが、1年生約50人、2年生約20人の生徒数に対し、使えるパソコンは3台ほど。
私が初代隊員だったため、まずは、訓練校の先生のやり方に倣い、教科書の内容を黒板に書き写し、知識を伝える座学から始めました。その後、JICA事務所からプロジェクターを借りることができたので、PCにつないで実際の画面を見てもらいながら、PCでできること、操作の仕方などを指導していきました。
難しかったのはクラスコントロールです。パソコンが3台しかなくPCに直接触れる機会がないうえ、頻繁に停電が起きてプロジェクターが使えないこともあるので、集中力が続かずに居眠りをしたり、関係ないことを話し始めたりする生徒が多くいました。授業は一人で行うことがほとんどだったため、英語で言いたいことがうまく伝えられなかったことも一因だったと思います。
ガーナに派遣されているPC関連の有志で構成する「エレクトロニクス分科会」に参加し、先輩隊員の活動内容やワークショップで得た知識を自分なりにアレンジし、授業に生かしていきました。
特に役立ったのがTLMs(※)です。PCがなくともカードを使って「コピー」「貼り付け」などのアイコンをクイズ形式にして覚えたり、キーボードのポスターを使ってタイピングの練習をしたり。熱心な生徒には休み時間にPCの貸し出しも行いました。
PC関連の職種であっても、途上国では「電気が通っていない」「PCがない」という状況下で活動しなければならないことが多々あります。でも、できることは必ずあります。派遣国には先輩隊員やJICAの調整員の人たちがいるので、一人で悩んでも解決しないときは、相談してみるのもいいでしょう。自分では思いもつかなかったアイデアを聞けるかもしれません。そして、ときには一息ついて、リラックスすることも忘れずに。
※TLMs…Teaching/Learning Materialsの略で、視覚教材やカードなど、教員が授業で使用する教材のこと
Text=油科真弓 写真提供=森 陽子さん