この職種の先輩隊員に注目!~現場で見つけた仕事図鑑

音楽

  • 分類:人的資源

   主に教育機関で生徒や教員を対象に楽器の演奏や歌の指導などを行う

  • 派遣中:3人(累計:820人)
  • 類似職種:青少年活動、小学校教育

※人数は2021年11月末現在。

新藤真理さん
新藤真理さん
チュニジア/2019年度2次隊

東京都出身。2000年にアメリカ留学でピアノ教育学を専攻する傍ら、現地児童にピアノを指導。帰国後、児童英会話講師として7年間勤務。19年12月からチュニジアに赴任。新型コロナウイルス感染拡大により20年3月から一時帰国をするも、21年6月に再赴任。

新型コロナウイルス感染症拡大で活動一時中断も
音楽を通じて生まれた同僚との絆

Q 要請内容は?

生徒に指導する新藤真理さん

2年目の生徒に、正しい姿勢・指のフォームで弾くことを指導している

 チュニジアでは各町に公立の音楽・ダンス学院があります。楽器を習いたいという子どもは、放課後、そこに通うことができます。配属先のモナスティールダンス・音楽学院ではピアノ専攻科を担当しています。所属しているのは小学生から高校生まで約120人で、5人の同僚教師と共に指導(個人レッスン)にあたっています。要請内容は、生徒への演奏技術指導、指導方法のレベルアップ、発表会などの開催支援というものでした。

Q 活動で心がけたことは?

 同学院への音楽隊員の派遣は約5年ぶり。年度の途中に赴任し、同僚教師が教えている生徒を譲ってもらい指導を始めたこともあり、同僚たちが「なぜこんな時期に来るのか」「なぜ譲らなければいけないのか」と不満を感じていたことが、私にも伝わってきました。まずは同僚たちとの関係を構築するところから始めようと思っていた矢先、新型コロナウイルスの感染拡大によりわずか2カ月で緊急帰国。そこで、帰国後はSNSで同僚たちと連絡を取り、授業の様子を見せてもらったり、リモート演奏をしたり、私も自分の演奏動画を投稿するなどしました。音楽を通じて交流することで、プライベートの話もできるまで親しくなりました。退避期間は1年以上になりましたが、その期間を使い、絆を深めることができた気がします。

Q 現在の主な活動は?

 再赴任したときにちょうど期末試験が行われていて、私も試験に同席し、生徒の演奏について意見を求められました。1年前は意見を言える関係ではなかったので、大きな変化でした。10月の新年度からは、同僚が担当する生徒に、私が追加でもう1レッスン教えています。学院では前年度に担当した生徒に継続して教えるのが基本なので、私が指導できるようになったのも大きな変化です。指導法は教師によって異なるため、生徒にとってもさまざまな教師の指導に対する考え方を深く理解できるのではと期待しています。

Q 残りの任期での目標は?

 本来、2021年12月までの任期でしたが、22年8月1日まで延長することができました。学校では毎年3月に大ホールのグランドピアノを使った発表会が行われます。これまで発表会に出演できるのは中級以上の生徒でしたが、今は小規模でもいいので、初心者にも発表の場をつくり、人前で演奏する楽しさを伝えたいと思っています。

Text=油科真弓 写真提供=新藤真理さん

知られざるストーリー