駒ヶ根青年海外協力隊訓練所に行ってきました!
その②コロナ禍の派遣前訓練内容&訓練生インタビュー

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、派遣前訓練の内容はどう変わった?

■自宅でPCR検査を実施
自宅出発前のPCR検査で陰性が確認された訓練生のみ、駒ヶ根の訓練に参加します。

■ホテルでのリモート型訓練/ 健康観察(14日間)
駒ヶ根市内のホテルで極力接触を避けてリモート型訓練を行います。毎日検温・体調観察を記録・提出します。3食お弁当が提供され、客室内でオンライン講座を受講したり、語学学習を行ったりします。ホテルの一般宿泊客の往来がない時間帯にあたる、11時~14時は外出できます。

■駒ヶ根訓練所での集合型訓練(45日間)
2019年度までは、リモート型訓練や遠隔型語学研修がなく、70日間、駒ヶ根訓練所で訓練を行っていましたが、21年度は新型コロナウイルス対策のため、集合型訓練は45日間となりました。そのため訓練内容の構成を変更、一度に訓練を行う人数を半分以下にし、訓練回数を年間3回から5回に増やして実施しています。地域実践型訓練や救護、異文化体験・世界情勢を学ぶゲームなどの接触型の訓練を中止し、オンデマンド型講座を新設するなどの工夫で可能な限り学べる質と量を確保しています。オンデマンド型講座を除くと語学訓練は全体の約8 割。残りの2割はこれまでも実施していた健康管理や安全管理・異文化理解など、途上国の活動に必要な知識を学ぶ講座です。

■遠隔型語学研修
自宅に帰ってからも10営業日(約5 時間/日)オンライン授業を行い、語学学習のフォローアップをしています。




派遣前訓練中のスケジュールは?

現在、8割方語学訓練が占め、1~7限目がすべて語学訓練という日もあります。休日は土・日曜日ですが、土曜日は訓練所スタッフが実施する任意の選択制講座や、訓練生企画の自主講座などが行われています。

■平日1日のスケジュール例(取材日の場合)

平日1日のスケジュール例(取材日の場合)

語学上達のコツは?語学講師インタビュー

ブライアン先生
ブライアン先生

英語講師

日本の英語学習で不足している会話を中心にして自信をつけてもらい、楽しく勉強したくなるような授業を行っています。個人学習では小説でもスポーツ雑誌でも構いませんから、自分の興味関心のある分野の英文を読んだり、音読したりしてみましょう。趣味の延長線上で楽しくインプットとアウトプットを行うのが続けるコツです。訓練所に入る前に自分の派遣国や職種について調べておき、必要な英単語をピックアップしておくと、より学ぶ意欲が湧くと思います。

サネ先生
サネ先生

フランス語講師

フランス語を学ぶ訓練生の約9割が訓練所で初めてフランス語を学びますから、前半で日常生活に必要な会話を通して発音や文法を覚えていきます。後半は活動に役立つよう、訓練生の職種に合わせた単語や会話を教えています。習得のコツは、インプットするときに日本語ではなくフランス語の文法・語順で学ぶ癖をつけること。訓練所に入る前にJICAが用意しているe-learning でフランス語の発音を聞いておくと、スムーズに語学訓練に入れると思います。



訓練生インタビュー

久保亮太さん
久保亮太さん

モザンビーク/PC インストラクター

齋藤李佳子さん
齋藤李佳子さん

ルワンダ/コミュニティ開発

Q ホテルでのリモート型訓練は、つらくありませんでしたか?

久保さん:現職参加ということもあってギリギリまで引き継ぎなどをしていたので、リモート型訓練の2週間はむしろあってよかったです。オンラインの任意講座を受けるほか、ネットで住所変更などもできたので、落ち着きを取り戻しました。任意講座は、語学のほかにも先輩隊員の話を聞く講座やケーススタディでグループワークをする講座があったので、同期6 割くらいの顔は覚えられました。

齋藤さん:私も任意講座はすべて受けて、特に任地で起こり得ることをケーススタディで学ぶ講座がためになりました。例えば「学力向上の要請内容で学校の先生として赴任したとき、現場で生徒の点数を甘くするように言われたらどうするか」など。どれも正解を求められなかったので、テーマによっては深く考え込むこともありました。人との接触を避けて健康観察を行うリモート型訓練ですが、日中3時間は外出が許されているのでホテル周辺を散歩したりして、苦には感じませんでした。

Q 駒ヶ根訓練所での共同生活はいかがですか?

齋藤さん:「訓練所の語学訓練は鬼!」とうわさで聞いていたので、入所前はドキドキしていたのですが、レベル別でクラス分けされているので、同じくらいの語学レベルの同期と学べます。先生も楽しくて自信をつけさせてくれるので、英語での発言も臆せずできています。

久保さん:私の場合、ポルトガル語の受講生が私だけなので、マンツーマンです。待機中の1年間に勉強していたので、最初の2週間は余裕を感じていたのですが、だんだん難しくなってきて必死に勉強しています。でも、同期とやっと対面できたのが嬉しいですね。

Q 授業時間外はどのように過ごしていますか?

齋藤さん:朝は6:00~6:30には起床して身支度をしながら、英語のラジオやルワンダの現地語・キニアルワンダ語のラジオを聴いています。その代わり、昼食後の昼休みは何もせず居室でぼーっとして過ごします。午後の授業後は夕食まで復習。夕食後は宿題を優先させながら、リスニング強化のため、英語のスピーチ動画でリズム感覚をつかんだり、TOEICの問題を解いたりしています。筋力トレーニングが趣味なので、土日はトレーニング室もよく利用しています。訓練所には自転車もあるので、市内の道の駅やスーパーなどに行って食品やお土産ものを買ったりして楽しんでいます。

久保さん:私の場合も6:30には起床して身支度、1日の予定や提出物を確認したりニュースをチェックしたりしています。昼休みは居室でYouTubeを見たり、昼寝をすることもあります。夜は語学訓練の課題や復習をしています。土日はテニスをしたり、ヨガインストラクターの資格を持つ訓練生が行うヨガ講座に参加したり、持参したミルでコーヒーを入れて、コーヒー好きの訓練生と距離を保ちながら談笑することもあります。

Q これから応募する方に一言お願いします。

久保さん:訓練所で周囲とコミュニケーションを取るのに、趣味や特技があるといいと思います。僕の場合はテニスやコーヒーが好きなので、それぞれ仲間ができました。

齋藤さん:途上国での活動も、JICA海外協力隊なら周囲も安心するのではないでしょうか。語学訓練や在外事務所のフォローも手厚いので、自信を持って活動できると思います。

Text&Photo=ホシカワミナコ(本誌) interview=大竹幸乃(本誌)

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