※2021年4月16日現在
出典：外務省ホームページ
※※2022年7月31日現在
出典：国際協力機構（JICA）
「ベトナム北部は、紀元前より漢、隋、唐といった中国王朝に支配されていましたが、938年に中国から独立しました。以後南部と北部に様々な王朝が成立しますが、1884年にフランスによって植民地化され、「フランス領インドシナ」と呼ばれるようになりました。第二次大戦では日本軍が進駐しますが、1945年8月に日本が敗戦すると、翌9月にホー・チ・ミン主席が「ベトナム民主共和国」として独立宣言。フランスなどとのインドシナ戦争、南北分離、米国とのベトナム戦争と苦難の歳月を経て、1976年にようやく南北が統一した「ベトナム社会主義共和国」が成立しました。」と外務省ホームページ（※）では、その歴史について紹介されています。
PROFILE
都市銀行勤務時代、途上国支援の楽しさを知り、1998年に国際協力事業団（現JICA）に入団。モンゴル事務所、財務部財務第二課長、ベトナム事務所次長、資金・管理部次長、財務部審議役を経て2020年3月よりJICAベトナム事務所長。米国公認会計士。
ベトナムへの協力隊派遣は1995年2月、首都ハノイでの日本語教育から始まった。職種や派遣人数は拡大し、2022年春募集の要請者数は55人と要請国中、最多だった。
ベトナム戦争等の多くの苦難を乗り越え、1986年、市場経済システムが導入されて以降、特にここ最近経済成長が著しいベトナム。
そのベトナムの特徴をJICAベトナム事務所の清水曉所長はこう話す。
「当地に足を踏み入れた瞬間、バイクや車の洪水とクラクションの音、人々の大きな話し声に圧倒されます。その一方で、社会全体にエネルギーも感じます。今日より明日はきっと良くなると。騒々しいまでの街の雑踏を眺めていると、長い戦乱と社会の混乱のあと、ようやく訪れた平和を皆謳歌しているようにも感じます」
ハノイ市郊外から望む高層ビル群と住宅街（写真提供：高橋智史/JICA）
「南北に長いベトナムは、北と南ではかなり雰囲気が違います。北部は四季があり、南部は雨季と乾季に分かれます。北部はベトナムの社会主義が開始された地でもあり、古くは（官吏を選考する）科挙の試験も行われていたせいか、官僚的、また北東アジアの感じがします。一方、南部はいわゆる日本人がイメージする、東南アジアの雰囲気です。人の考え方を含めて楽観的でより開放的な印象を受けます」
22年度春募集の協力隊の要請件数を押し上げた背景には、年率6〜7％で続く経済成長があるという。「各自治体が日本企業の投資や誘致につなげるため、日本語ができる人材を育てたいというニーズがある」。
高齢化が急速に進む中、看護や、リハビリなど介護の要請も増えている。「ベトナムではまだ新しい分野のため、技術や制度が確立したりしていません。マンパワーとしてだけでなく、隊員たちから学びたいという要望があります」。ベトナム事務所では、ウィズコロナのバックアップ体制も整え、隊員の派遣を待っているという。
「官僚的で、日本以上にプライドが高い人が多かったり、年功序列の強い組織だったりと、隊員の皆さんの主張や提案が受け入れられなかったり、活動がなかなか進まず成果が上がらなかったりと悩む場合もあるかもしれません。そのような時は焦らず自分の意見を押し通し過ぎないこともコツです。まずは配属先との人間関係を構築することから始めてください。ベトナムは家族を何よりも大切にする社会です。一度相手の懐に入り、家族同様の信頼を得ることができれば、意外とすんなりと提案が通ったり、様々なことに親身になってくれたりします。そして隊員の任期が終了した後でもその経験を活かした飛躍のチャンスが広がる可能性もあります。それもベトナムの魅力の一つだと思います」
Text＝三澤一孔 写真提供＝ご協力いただいた各位
