[特集]
青年海外協力隊事務局からの熱い思いを届けます!
これからのJICAボランティア事業

各課を支える人々

Profile…プロフィール。国際協力機構(JICA)入構(国際協力事業団入団を含む)のきっかけや、現在の業務内容、やりがいなど。
Message…隊員へのアドバイスやメッセージ。海外在住経験のある方にはその国のことも含めて。
Book…隊員の方に薦めたい本や漫画。
Off…プライベート。趣味や余暇の過ごし方。


海外業務

次長・沢田博美さん
次長・沢田博美さん

Profile:途上国の環境問題解決について研究したいと、民間企業を辞めて大学院に進み、JICAに入構しました。モンゴル事務所や帯広センターなど、最近の7年間は寒い地域にいたので、東京が暖かく感じます。現在は海外業務担当次長として、全世界への隊員派遣、国別事業計画策定等を担当しています。特に、派遣人数をコロナ禍前の2000人に戻すべく、海外グループとして一丸となって業務に取り組んでいます。

馳星周『神(カムイ)の涙』、『少年と犬』

Message:まずは安全が第一です。派遣されている国の治安状況をよく理解した上で現場に入っていき、かけがえのない2年間を経験していただきたいと思います。モンゴル隊員の方々に向けては、プロのスリと、お酒を飲んで荒れている人にはくれぐれもご注意を。
Book:馳星周『神(カムイ)の涙』、『少年と犬』。前者はアイヌ民族、後者は東日本大震災を題材にした小説です。協力隊として途上国のこと、派遣国のことに関心を持っていただいたと思いますが、日本や地方が抱える課題にも目を向けるきっかけに。
Off:帯広センター時代にペーパードライバーから脱却し、雄大な自然を楽しみながらドライブすることに目覚めました。


④海外業務第一課
課長・成田映太さん
課長・成田映太さん

Profile:アジアを旅し、人々の生きる力に触れ、開発途上国に関わる仕事がしたいと入構。最初の配属先が青年海外協力隊事務局。エチオピア、ルワンダ、トルコに駐在経験あり。当課では東南アジア・大洋州、中南米地域の約40カ国を担当。コロナ禍で帰国された隊員や2019年度3次隊の皆様、特別登録へ移行された方々とお話しする機会に恵まれ、一人ひとりの人生における思いを改めて知ることができました。派遣国からは早く隊員を戻して欲しいとの声をたくさんいただき、在外拠点の主導で隊員派遣が進んでいます。コロナ禍でも現場に入ることを志し、隊員が任地で逞しく、しなやかに活躍している様から、事業の意義深さを実感しています。

三浦綾子『海嶺』

Message:隊員活動・生活では効率性から少し離れて、時間を掛けて悩んだり、止まったりすることも醍醐味です。安全対策は国ごとのポイントをしっかりと見極めてください。
Book:三浦綾子『海嶺』。20代で出会い、ダイナミックでこんな生き方もあるかと感じ入った本。
Off:サッカー(JFA公認C級コーチライセンス取得)。



水野秀哉さん
水野秀哉さん

Profile:日本と世界をつなげる仕事に興味があり、大学時代に国際関係学を学び、休学してボリビアの旅行会社にてインターンシップをしました。この時はJICAのウユニ塩湖のゴミ問題のプロジェクトの調査案件などに携わりました。帰国後新卒で入構し、現在はベトナム、マレーシア、マーシャル、ミクロネシア、ボリビアの5カ国の主担当、ラオスの副担当をしています。

高橋歩&EXILE ÜSA『NEO ZIPANG』

Message& Book:私自身の反省から、感情で判断せず、論理的に話すことが大切だと感じています。そんな時、中室牧子『「学力」の経済学』が参考になりました。実用的な本は、高橋歩&EXILE ÜSA『NEO ZIPANG』。英語と日本語と豊富な写真で日本を紹介した本です。伝統文化だけでなく、日本が誇れるもの、例えば治安を守る警察、公衆トイレ、自販機、食品サンプルなども掲載されています。
Off:きれいな景色を撮影することです。特にパタゴニアやウユニ塩湖をはじめ、中南米の大自然に魅了されました。


⑤海外業務第二課
課長・杉本 巨さん
課長・杉本 巨さん

Profile:協力隊参加(ハンガリー/日本語教師/ 1994年度1次隊)後、郵政省勤務を経て、入構しました。当課では、中央アジア、南アジア、中東、欧州、アフリカ地域約40カ国の国担当として、在外事務所との連絡や調整、隊員の方々の書類作成などを行います。やりがいは、隊員の方々に「派遣国への一生涯続く愛を感じられる経験」をしていただくことです。

ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』

Message:言語はコップに水を入れるようなもので、あふれるまで見えませんが、あふれた時にふっとできるようになります。現地の方々と楽しく会話して、いい関係を築き、語学力も磨いてください。ただし言語ができるようになると、緊張感が薄れます。相手に犯罪の隙を与えず、安全と健康を確保して、成果を求め過ぎず、楽しんでください。
Book:ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』。アウシュビッツの話です。派遣国に関係する書籍をお薦めします。
Off:ハンガリー、ウズベキスタン、チュニジア、マダガスカルと民族楽器を習いました。音楽は人との距離を縮めてくれます。


後藤大祐さん
後藤大祐さん

Profile:学生時代に陸上競技に打ち込み、協力隊へ(モルディブ/陸上競技/2008年度2次隊)。帰国後、NPO職員としてパレスチナに2カ月間滞在し、協力隊事業の本質に気づき、事業を未来に残したいと駒ヶ根訓練所(訓練スタッフ)やインド(VC)での勤務後、入構。現在はウズベキスタン、タジキスタン、カメルーン、セネガル、マダガスカル、ジブチを担当しています。

R・A・ハイフェッツほか『最前線のリーダーシップ』

Message:長いトンネルの中腹にいる人がほとんどだと思います。何も残せなかったとしても悔やむ必要はありません。自分なりに今、何が必要なのかを考えて、一生懸命その国の皆さんのために活動してください。振り返った時にかけがえのない異国の友人があなたの隣にいるはずです。皆さんとその国の友人が、両国の大きな懸け橋です。
Book:R・A・ハイフェッツほか『最前線のリーダーシップ』。周囲を巻き込む際の事例が面白くためになります。
Off:長年の習慣のウエイトトレーニングやジョギングです。


Text&Photo=干川美奈子、飯渕一樹、阿部純一(本誌) editorial assistant=林 志織(本誌)

知られざるストーリー