※2021年2月16日現在
出典:外務省ホームページ
※2023年4月30日現在
出典:国際協力機構(JICA)
日系移民や国際協力の分野で日本との関わりが長いボリビア。協力隊派遣も南米では早い時期に始まった。JICA中南米部長でボリビア駐在歴が通算7年の小原 学さんに、国の特色について伺った。
お話を伺ったのは
PROFILE
JICA中南米部長。1993年に国際協力事業団(現JICA)に入団。99~2002年、ボリビア事務所駐在。総務部、中南米部、ホンジュラス事務所、青年海外協力隊事務局などを経て、18年から22年、ボリビア事務所長。22年4月より現職。
「ボリビアの魅力は多様性です。荒涼としたアンデス高地にある標高3600メートルの首都ラパスから、日系移住地もある東部の低地に行くと緑豊かな熱帯に変わります。地方ごとに住んでいる人々の気質、文化、産業も異なるため、違う国に来たような気持ちになります」と話すのはJICA中南米部長の小原 学さんだ。
ボリビアは南米大陸のほぼ中央にある内陸国。日本の約3倍の国土に1200万人ほどが住む。アイマラ、ケチュアなどさまざまな先住民が人口の41パーセントを占め、豊かな民俗文化が息づいている。
1825年、アンデス山間部のスペイン植民地のうちアルト・ペルーと呼ばれた地域が、南米の独立指導者シモン・ボリバルにちなみ、「ボリビア共和国」として独立した。1952年のボリビア革命で先住民の権利が認められたが、反動で64年から軍政となる。
82年に民政に復帰したのち、2006年にはボリビア史上初めて先住民出身のエボ・モラレス大統領が就任し、憲法の改正を経て国名が「ボリビア多民族国」に変わった。近年は天然ガスなどの輸出が伸び、1人当たり国民所得は3000ドル(約40万円)を超えて中進国並みになっているものの、「まだ南米で最も所得格差が大きくて貧困層が多く、地方ではそれをより感じます」。
他方、政府は先住民の昔ながらの尊厳のある生活を回復するという『VIVIR BIEN(よく生きる)』を理念に掲げ、先住民の伝統文化や権利を尊重する政策を進めてきた。ただ近年は、モラレス大統領が失脚するなど、政治的な変動も少なくない。
「政策への抗議では道路封鎖という手段がよく取られることから物流が時折止まったりしますが、人々は親切で治安の良い国です。日本人の移住の歴史が120年を超え(※)、日系社会への信頼が厚いことからも、日本人にはとても好意的で、長年行われている経済協力のベースになっています」
ボリビアへの協力隊の初派遣は1978年で、無償資金協力や技術協力との連携で人材育成に貢献してきたことが特徴だ。保健医療分野を中心に日系社会ボランティアを含め累計1300人以上が派遣され、教育、農業・農村開発、職業訓練、環境教育などの分野で活躍してきた。今後に向けても、所得格差の是正に資するような収入向上や教育といった分野の隊員が多く要請されている。「配属先の予算や人材が不足していたり、選挙で地方の行政組織でも職員が入れ替わったりといった活動上の難しさはありますが、総じて隊員に快く協力してくれる国民性です。格差解消や脆弱な人々のために共に創意工夫していく面白さが待っています」。
※…1899年、ペルーへの入植者の一部がボリビアに転住したことに始まる。2019年7月には眞子内親王殿下(当時)御臨席の下、日系移住地のあるサンタクルス県において日本・ボリビア双方の関係者237名が出席する日本人移住120周年式典が盛大に開催された。
Text=工藤美和 写真提供=小原 学さん、飯渕一樹(本誌)