高木晴乃(旧姓 吉田)さん

スーダン/環境教育/2016年度4次隊・神奈川県出身

スーダンの茶店は慣れが大切!

   私が活動したスーダンは敬虔なムスリムが国民の大半を占める国です。特に当時はアルコール飲料が法律で禁止されていたほどで、人々が嗜好品として飲むのは、どこへ行ってもお茶やコーヒーでした。

   活動先の事務所へ行けばみんなでお茶などを片手に長時間のおしゃべりに興じるのが日常でしたし、特に印象的なのが、道端に「シッタ・シャーイ」と呼ばれる簡易的な茶店がよく出ていたこと。私もしばしば、人との待ち合わせで時間が空いた時などに利用していました。

   アラビア語で「シッタ」が女性、「シャーイ」が紅茶という意味で、その名のとおりお湯を沸かす鍋釜や椅子などを並べた真ん中におばちゃんが座っていて、ミルクティーやミントティー、コーヒーなど注文に応じてサッと入れてくれます。ただ、持ち手のないガラスのコップになみなみと注いで渡されるので、最初は「熱い、熱い!」と慌てました。慣れてくると、親指と人差し指でコップの縁を持ち、底面に小指を添える三点支持で飲めるようになるのですが(笑)。

   そして、何より要注意だったのが砂糖の量!スーダンの人たちは大の甘党で、お店でも黙っていると何でも激甘にされてしまいます。そんな現地事情を訓練中から耳にしていた私は、「ビドゥン・スッカル(砂糖なし)」などの表現を特に念入りに覚えて赴任。シッタ・シャーイでも市場のジュース屋さんでも、スプーン山盛りの砂糖をジャンジャン入れようとするスーダン人との攻防を繰り広げた思い出があります。

あの日の、地球の、あの場所で。

Illustration=牧野良幸 Text=飯渕一樹(本誌)