近藤愛麗さん
近藤愛麗さん

野菜栽培/2023年度3次隊・東京都出身

派遣国生活
現地では、野菜は加熱調理することが一般的で、サラダのように生でたくさん食べる習慣はない。「若い世代はSNSなどを通じて海外の食生活に興味を持っているので、徐々に文化も変わっていくかもしれません」

活動の様子

私の配属先は役場の農業開発課で、農家に対して農薬や化学肥料を販売・提供したり、土作りなどの農業技術に関する研修を行ったりする部署です。赴任して驚いたのは、地域で栽培されているのが米とトウモロコシばかりで、野菜栽培は全く盛んではないこと。野菜を食べる習慣も乏しいので、近隣の町にある学校の農業科と連携して食育に絡めた活動をできないかと考えています。
目下、活動が事務作業中心になっていることも悩ましいのですが、ネパールに進出している日本の種苗会社からキュウリやメロンの種をもらって苗を育てているので、いずれは農家の人を直接訪ねて試験栽培を提案していければと思います。

暮らしている市、町、村

任地のシッダレーク村は、東京で生まれ育った私から見るとびっくりするほど、住民同士の距離感が近い社会です。買い物をすれば店先で立ち話をしている人から「何買ったの?」と聞かれたり、首都へ出かけただけで、そのことがすぐに知れ渡っていたりして、初めは困惑したことも。今はそれにも慣れ、何かと私を気にかけてくれる人々に囲まれて、密な交流を楽しめています。村の郊外にあるシッダレーク・マンディールという寺院は、住民が休日に祈りをささげに行ったりするスポットなのですが、ここから望む山々や棚田がまさに絶景! 赴任当初、慣れない環境でストレスがたまり続けていた時に、この風景を見て心が洗われた思い出があります。

派遣国生活
シッダレーク・マンディールから望む棚田の風景
派遣国生活
稲作が盛んな土地柄で、村中に水田がある。写真は田植え祭りに参加した際の近藤さん

食べ物

活動先で週に1、2回は、おやつの時間に「モモ」という丸いギョウザのようなものを食べています。具はスパイスが利いていて、さらに「アチャール」と呼ばれる辛くて酸味のあるソースをつけて食べるのが普通なのですが、赴任したばかりの頃の私には味がくどくて、アチャールなしで食べていました。半年余りを経て、最近ではアチャールがないとモモを食べた気がしなくなっています。同僚たちと毎日ネパール料理を食べ続けているせいか、だいぶ味覚がネパール人化してきたみたいですね。

派遣国生活
蒸したモモと揚げたモモ、アチャールのセット。一つひとつは小ぶりだが、10個で100円と安価でおなかいっぱいになる
派遣国生活
「ダルバート」は白米にカレー風味の豆スープとおかずが添えられたネパール定番の食事。「暑い地域ということもあってどの料理も激辛なのですが、近頃はだいぶ慣れてきました」
派遣国生活
建物の2 階に近藤さんの居室があり、同じフロアにトイレ・シャワーもある。「当初、布団はゴキブリのすみかと化していたので、寝具などすべて新しく買いそろえることになりました」

住まい

住んでいるのは一軒家で、上階に大家さん、すぐ横に大家さんの家族が住んでいて、4世帯が一緒に暮らしています。大家さんは役場に併設された食堂を営んでいるので、家族全員が忙しく、顔を合わせる機会は意外と多くありません。標高が低いためかなり暑い土地なので、配属先から帰ってくるとすぐにシャワーを浴びるなどして、何とか空調設備なしでしのげています。洗濯機は恐らく村中に1台もないようで、私もずっと手洗いをしているのですが、洗剤の質のせいなのか服の生地がどんどん傷んで薄くなっていくので困っています(笑)。


写真提供=近藤愛麗さん Text=飯渕一樹(本誌)