平素よりJICAボランティア事業へのご協力を賜り誠にありがとうございます。
1965年に開始された本事業は、おかげさまで来年60周年を迎えます。2020年には、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、全世界の隊員が一時帰国を余儀なくされました。その後、徐々に派遣を再開させていただき、24年10月末時点で1,568人の隊員が74カ国で活動するまでに回復しました。また、12月で累計派遣隊員数が5万7,000人を突破する見込みです。皆さまからさまざまな形でお力添えを頂きましたこと、改めてお礼申し上げます。
60周年記念のテーマは、「世界と日本を変える力」です。これは、協力隊員が世界のさまざまな課題に取り組むと共に、日本社会にも変革をもたらす存在であることを多くの方に知っていただきたいという思いからです。一人ひとりの隊員の活動は小さなものかもしれませんが、60年間の積み重ねの中で、大きな変化を国内外にもたらしてきたと思います。今年開催されたオリンピック・パラリンピックでは、協力隊員から指導を受けた選手たちが多数活躍しました。また、国内でもたくさんのOVの皆さまが、災害支援、地域活性化、多文化共生社会づくりなどの分野で活躍してくれています。来年11月には60周年記念式典の開催を予定しています。皆さまにもぜひご参加いただけますと幸甚です。
昨年6月の開発協力大綱の改定を踏まえ、JICAとしてOVの皆さまの社会還元を周知・支援すべく取り組みを進めております。昨年から開始した「帰国隊員社会還元表彰」は、皆さまのご協力により第2回目を開催させていただきました。新しい取り組みとしては、OVの「起業支援プロジェクトBLUE」を開始し、伴走支援を受けたOVが国内外での起業に向けて動きだしています。また、派遣中および帰国後の隊員を応援するための「JICA海外協力隊応援基金」を立ち上げさせていただきました。これらの取り組みを通じてお会いしたOVの皆さまの情熱に私自身も感銘を受け、今年9月には書籍「GLOCAL INNOVATORs」を出版させていただきました。
世界が複合的危機にある中、協力隊事業の重要性はますます高まっています。今後も、皆さまが築き上げてくださった途上国の皆さまとの信頼関係を維持・発展させ、更には日本国内からも頼られる協力隊を目指して邁進していく所存です。OVの皆さまにおかれましては、海外に挑戦するこれからの協力隊員および国内で頑張る仲間を引き続き応援いただきますと幸いです。
今年は能登半島地域で震災・豪雨被害が発生した年でもありました。被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。また、現在も被災地でボランティア活動に従事されているOVの皆さまにはこの場を借りて感謝申し上げます。
最後になりましたが、皆さまのご活躍を祈念し、JICA海外協力隊に対する変わらぬご支援をお願い申し上げ、2024年OV(OB・OG)向け『クロスロード』発行にあたってのご挨拶とさせていただきます。
1994年 | 大学卒業後、金融機関勤務 |
1997年 | 青年海外協力隊に参加 〈インドネシア/市場調査/1996(平成8)年度3次隊〉 |
1999年 | 国際協力機構(JICA)入構 |
2010年 | 米国事務所次長 |
2013年 | 人間開発部基礎教育第二課長 |
2016年 | 企画部総合企画課長 (2018年~JICA開発大学院連携準備室副室長兼務) |
2019年 | 総務部審議役 (2020年~企画部イノベーション・SDGs推進室長兼務) |
2021年 | 総務部審議役/次長 |
2022年12月 | 青年海外協力隊事務局長に就任 |
Photo=阿部純一(本誌)