
その取り組みの一部をご紹介します。
2024年6月8日(土)、JICA東京(東京都渋谷区)にて2004年度1次隊のうち駒ヶ根訓練所で訓練を受けたOVが20周年を記念する同窓会を開催し、同期224人中70人とその家族16人が参加した。「20年前に駒ヶ根訓練所で過ごした日々の感動と熱狂が再現され、かけがえのない時間を共有することができました」と話すのは開催実現に尽力した後田剛史郎さん。同期10人ほどのSNSグループでの「記念同窓会があるといいね」という一言をきっかけに、同年2月から準備を始めていた。
国内外に散らばっている同期が一人でも多く集まれるよう配慮したのは、「アクセスの良い場所での開催」と「コストを抑えること」の2つ。航空運賃などが高騰する大型連休や夏休みを避け、かつ1次隊には現職教員が多いことから学校行事が少ない6月を選択。そして、思い出の地・駒ヶ根をはじめとする複数の候補地から「安価で使用できる講堂があり、パーティも行えて、宿泊施設を併設している」というJICA東京での開催を決めた。
苦労したのは参加者の募集で、訓練所時代の名簿で224人全員にメールを出しても、ほとんど届かなかった。「連絡がついた人から口コミで伝えてLINEグループに招待し、同窓会への参加意向を聞いて出席・宿泊人数の把握などを進めました」。結果、参加者は目標としていた50人を大きく上回る数に。後田さん自身は宮崎県から飛行機を利用して参加し、オランダやハワイ、ベルギー、ベリーズに住む海外在住者も駆けつけた。
当日は訓練所入所時の自己紹介にならって1人1分間で近況を報告。その他、参加できなかった同期のビデオメッセージや、訓練時代のイベントで各自が披露した余興の再現といった催しがあり、「若い力の歌」の斉唱で締めくくられた。
「最初は照れくさかったのですが、すぐ打ち解けました。帰国後は訓練所時代の結束も失われがちですが、今回作ったネットワークは能登半島地震災害支援の呼びかけにも波及効果を及ぼしていますし、この団結力は日本にとっても財産になると考えています。参加者全員から『ありがとう』と言われ、心底やってよかったと思いました」と後田さん。25周年、30周年記念の同窓会も視野に、まだ連絡の取れない同期へのアプローチを続けている。
スリランカ/野球/2004(平成16)年度1次隊・長崎県出身
日本と18の太平洋諸島・地域が参加した「第10回太平洋・島サミット(PALM10)」が2024年7月16日(火)~18日(木)に東京都で開催され、林 芳正内閣官房長官夫妻主催の歓迎レセプションと岸田文雄首相(当時)夫妻主催の晩餐会には、大洋州に派遣された10名のOVが参加。各国の首脳や要人らと懇談した。
その一人でトンガOVの深川千幹さんは、かつての教え子が首相と駐日大使となってPALM10に参加、30年以上を経て3人での対面を果たした。「自然災害など課題の多い国のリーダーとして一生懸命頑張っている彼らを誇りに思います。教え子がこんなに立派になって隊員冥利に尽きます」とその思いを話す。
深川さんは1987年、佐賀県で初めて現職教員として協力隊に参加し、帰国後30年以上にわたり同県の小中学校教育に携わってきた。定年退職を目前に控えた2022年1月、トンガ沖大噴火に際し、理事を務める地元佐賀のNPO「地球市民の会」で募金活動を展開。支援金を駐日トンガ王国大使館に持参すると、待っていたのは隊員時代にトンガの高校で教えた生徒、スカ・マンギシ大使。感動の再会だった。深川さんはこれを機に地球市民の会を通じてトンガの防災教育や高校生への奨学金事業などに携わっている。
23年に結成されたトンガOV会では、会長も務める。「仕事や子育て、介護などがあり、帰国してからトンガに全く関われずに負い目を感じていましたが、ここへきて一気に動きだして、自分でも驚いています。トンガにはこれからもずっと関わっていきたいです」。
トンガ/理数科教師/1987(昭和62)年度1次隊・佐賀県出身
外務省やJICAなどが共催する国際協力イベント「グローバルフェスタJAPAN 2024」が、2024年9月28日(土)、29日(日)の2日間にわたって対面・オンラインのハイブリッド形式で開催された。対面会場である新宿住友ビル三角広場および新宿中央公園ファンモアタイムひろば(水の広場)には、各種参加団体のブースやキッチンカーが並び、両日で5万人近くが来場した。
協力隊OV会ではヨルダンネットワークや日本マラウイ協会、ドミニカ共和国OV会といった国別OV会のほか、JOCV看護職ネットワークのような分野別OV会もブースを出展。また、一般社団法人A-GOALやKESTES、バヌアツ・ナバンガ ピキニニ友好協会など、OVが設立・運営している団体も複数出展し、新宿中央公園のキッチンカーコーナーではOVの元木康貴さん〈セネガル/行政サービス/2009(平成21)年度4次隊〉が携わるThiès Caféがセネガル料理などを提供した。
出展団体のOVからは「この機会に同じ国のOVが偶然ブースに来てくれることもある」「長年参加していて、毎回多くの人と交流できるのがいい」といった声が聞かれ、会場を訪れた他のOVらと旧交を温める姿も多く見られた。
Text=工藤美和(News1, 2)、飯渕一樹(News3 本誌)
Photo=飯渕一樹(本誌) 写真提供=ご協力いただいた各位