
漢字デザインで意味や形を教えよう!
私がタイで日本語を教えた中高一貫校の生徒たちは、漢字に対して「格好良い」という印象を持っていました。その興味を生かして学習に取り入れたのが、「漢字デザイン」です。生徒たちに、漢字をじっくり見て特徴をつかみ、自由に発想力を発揮してもらいたいと思って行ったところ、生徒たちが楽しみながら漢字を覚えてくれたので、ご紹介します。
私がタイで日本語を教えた中高一貫校の生徒たちは、漢字に対して「格好良い」という印象を持っていました。その興味を生かして学習に取り入れたのが、「漢字デザイン」です。生徒たちに、漢字をじっくり見て特徴をつかみ、自由に発想力を発揮してもらいたいと思って行ったところ、生徒たちが楽しみながら漢字を覚えてくれたので、ご紹介します。
タイ/日本語教育/2021年度1次隊・鹿児島県出身
大学生時代に読んだ辺見 庸氏のルポルタージュを通じて途上国に関心を持ち、バックパッカーとして各国を旅した。卒業後は金融系の企業に勤務した後、外国の人々と関わりたいと日本語教師に転職し、約4 年の経験を積んだ上で協力隊に参加。タイの中高生に日本語を教えた。帰国後は空港関係の企業で外国人従業員に日本語を教えている。
漢字カードは、A5サイズくらいの紙の表側に漢字1字、裏側に読み方と例文を書きます。漢字の意味を書くだけだと「早い」と「速い」の使い分けなどが伝わり難いため例文がお薦めです。表側に書く漢字は、日本語能力検定で一番易しいN5レベルの漢字113字の中から、事物や行動を表す漢字を中心に40字くらいをピックアップします。抽象概念を表す漢字は説明が難しいので避けます。
授業では、まず隊員がデモンストレーションして、生徒たちにどんなことをやるのかイメージをつかんでもらいます。
デモンストレーションの流れ
①隊員はあらかじめデモンストレーション用に、漢字と漢字デザインが表裏になったカードを作成しておく。例えば表側に漢字の「口」を書き、裏側に漢字の「口」に歯や唇のデザインを描き加える。
②授業では、まず表側の漢字を見せて、クイズとして生徒たちにどんな意味かを考えてもらう。
③次に裏側の漢字デザインを見せると、ほとんどの生徒が絵で理解して「口」だと当てる。
④同じように、「月」「日」など簡単な5~6例を紹介していく。ここでは、漢字をデザインをすることによって、一目で意味がわかるようになることに気づいてもらうことが目的。
「みんなも漢字デザインを作ってみよう!」と呼びかける。全員に白紙のカードを配り、1人1枚、好きな漢字カードを選んでもらい、裏面の例文と読み方を参考にしながら、白紙のカードに漢字を書き、その上に漢字デザインを描いてもらう。
生徒たちが描いた漢字デザイン。「生徒たちは漢字の固定概念に縛られていないため、
自由で面白い発想で描いてくれて驚きました」
生徒から漢字デザインを集めてクイズ形式で1枚ずつ紹介していく。生徒が描いた漢字デザインを皆に見せ、「この漢字の意味は何でしょうか?」と推測してもらう。ほとんどの生徒はデザインを見れば意味がわかる。最後に「これは○○君が描きました」と発表すると描いた生徒も喜ぶ。
Text=阿部純一(本誌) 写真提供=安田華子さん