
駒ヶ根青年海外協力隊訓練所・業務課
(ナミビア/PCインストラクター/2012年度4次隊)
協力隊の派遣国は日本と環境が大きく違います。そうした現地で、健康を維持し、感染症などにかからないようにするための注意点や、犯罪被害にあわないための知識を身に着けます。安全管理では、交通安全のほか、スリや強盗などの一般犯罪、テロ対策も行っています。実際に起こった事例を紹介しながら、実践的なノウハウを身に着けます。
「疑似体験アクティビティ」を通じて異文化を理解する姿勢を養うほか、異文化に適応するコツや、過去の隊員がどうやって失敗を乗り越えたかといったケーススタディも取り入れています。また、駒ヶ根在住の外国人の話を聞く機会もあり、「派遣国で自分も体験することになる“外国から来た人”の気持ちが理解できた」という声も多いです。日本における多文化共生についてなど、帰国後の社会還元に役立つ内容も盛り込まれています。
知らない地域に行った時、現地の人たちとどうコミュニケーションをとるか、そこで自分がどう役に立てるか、実践を通じて学ぶことが目的です。地域の福祉施設や障害者施設、農家、市民団体、保育園などに行き、2日間のボランティア活動をします。
英語講師
授業では文法のような基礎だけでなく、クラスのメンバーの前での発表などを通して実際の活動で使えるフレーズも身につけてもらいます。例えばミーティングを始める時に「みんな集まっていますか?」「では始めましょう」などと言いますが、現場で外国語を話していると突然頭が真っ白になってしまうことがあるので、それらをしっかり練習しておきます。
英語に自信がないという人は多いですが、同じレベルの仲間と一緒に学んでいれば、一緒に上達するものです。私は初回の授業では必ず、上達度は3つの要素によって左右されると話しています。それは「才能」「努力」「勉強方法」。才能はあるに越したことはありませんが、後の2つさえあれば派遣国で十分活動できるようになります。ただ、むやみに頑張って真夜中まで勉強するのではなく、計画的でスマートな努力が肝心ですね。
そして努力は本人がするものですが、勉強方法については先生が責任を持つことなので、信じてついてきてほしいです。思うようにいかないことがあっても、自分を信じてマイナス思考にならないことが肝心です。
また、訓練期間が経つにつれ、やることが増え疲れもたまっていきます。時間管理はとても大事なので忘れずに!
シンハラ語講師
スリランカ派遣予定の訓練生が学ぶシンハラ語が日本語と比べて特徴的なのは、やはり文字です。文字の読み書きは現地での活動に不可欠なので、授業でもまずは文字の勉強から始めます。そして、ひらがな・カタカナ・ローマ字はほとんど使わず、シンハラ文字を通して学ぶ授業を心がけています。なぜなら派遣前訓練は短期集中なので、他の文字で練習して間違いを正すことに余計な時間を使うより、初めからシンハラ文字で学んだほうが効率よく基礎的な力がつくためです。
もちろん訓練所でどんなに勉強して赴任しても、実際に現地の人と話すと、言っていることの半分もわからないこともあるでしょう。そんな時、基礎をしっかり学んでいれば、聞いているうちにだんだんと順応して何を言っているのか理解できるようになるはずです。
訓練所にいる間は、どんなに間違ってもシンハラ語を使いましょう。上達してからでないと話すのを躊躇するかもしれませんが、話さなければ間違っているということさえわかりません。言葉は間違えながら覚えていくもの。そして語学に近道はないので、毎日繰り返し勉強することが大切です。
Text&Photo(語学講師・訓練所スタッフ)=阿部純一(本誌) 写真提供=取材にご協力いただいた各位