ルワンダ/観光/2015年度4次隊・神奈川県出身
8年間のホテル勤務経験を生かし、ルワンダ東部県カヨンザ郡のカヨンザ職業訓練校でホテルコースの授業を担当した井上理恵さん。カスタマーケアやハウスキーピングなどホテル従業員として必要なことを教える中で、学生たちがホテルについて体験的な知識を持っていないことに気づいた。
「ホテルに行ったことも、エレベーターに乗ったことさえもない、という学生が多くいました。私自身、ホテル勤務時代には実際に現場を見て歩くことで得たものがたくさんあったので、彼らにも本物のホテルを見る機会があればよいのではと考えました」
そこで企画したのが、実際のホテルを見学するツアーだ。井上さん自ら、首都の一流ホテルを訪ねて交渉して回った結果、7つのホテルが受け入れを表明。
第1回のツアーでは学生20人と1日かけて4カ所を巡り、バックヤードを解説つきで見学させてもらった。
「初めての体験に学生たちは大いに刺激を受けていて、こんなホテルで働きたい、こんなスタッフになりたい、と働くイメージが具体的に描けたようでした」
さらにはカウンターパートと共に交渉して、学校の近隣にある小規模なホテルやレストランで学生が働きながら学ぶ「1日体験トレーニング」も企画。
「首都のホテルツアーに参加した経験のある学生がトレーニングに参加すると、目的意識を持って動くので働き方が違います。最初はダラダラ働いていた他の学生も良い影響を受けていきました」
ホテルやレストランとの関わりができたことでインターンシップ先が広がり、ホテルのインターンシップからそのまま就職したり、1日体験トレーニングからレストランへの就職が決まる学生も現れた。実体験の充実を図るために始めた取り組みが、学生の就職率向上にもつながっていった。
ボリビア/環境教育/2014年度1次隊・福岡県出身
ボリビアの山間部、サンタクルス県パンパグランデ市の市役所で環境教育に取り組んだ城井香里さんは、赴任から9カ月ほどたった時期に市域にある学校の先生数十人を集めて大々的に環境ワークショップを実施した。
「派遣前の技術補完研修(現在の課題別派遣前訓練)でさまざまなアイスブレークやネイチャーゲームの手法を教わっていて、実践の機会がないかと温めていました。そして、先輩隊員から『隊員1人が学校を巡って児童に教えるより、先生たちに教え方を伝えて各校で取り組んでもらうほうが早く広く効果が出る』と聞いたことから、教職員向けに何かできないかと思ったんです」
当日の企画で重視したのは、先生たちに手を動かして参加してもらい、目で見てパッとわかる環境啓発手法を伝えること。例えばごみの分別に関連づけ、生ごみと缶・ペットボトルといったものを一緒に埋めておき、分解の様子を全
員で確認するというアクティビティを実施した。
「数日前にあらかじめ埋めていたものを、当日に先生たちと一緒に掘り起こして見せました。バナナの皮などが黒ずんで分解していっているのに対し、缶などはそのまま変わらない。“百聞は一見にしかず”で大人から子どもまでとてもわかりやすいので、ぜひ現地で見せたいと思っていた手法でした」
その他にも、広場の緑地に隠した小物を探すゲームで人工物を見つける意識を刺激してから、路上のどこにごみが落ちているかチェックしながら拾い集めてもらうなど、単に理屈を知るのではなく実際に動いて体験する企画を用意。グループワークによる振り返りでは、ごみのあった場所や、その理由、今後自分たちがどう改善すべきかを考えて発表してもらうところまで行い、各校でそのまま導入できる活動パッケージとして一連のアクティビティを伝えることができた。
写真提供=井上理恵さん、城井香里さん