
エルサルバドル/ソフトボール/1976年度2次隊、SV/コスタリカ/マーケティング/2015年度3次隊・兵庫県出身
私がシニア海外ボランティアとして活動したコスタリカは、エコツーリズムで世界的に知られる野生動植物の宝庫です。映画の世界では『ジュラシック・パーク』、『ジュラシック・ワールド』シリーズの舞台となり、コスタリカ沖合の孤島を闊歩する恐竜たちのイメージが描かれています。
もちろん現実に恐竜の潜むジャングルがあるわけはなく、首都サンホセを中心に都市開発も進んでいるコスタリカですが、大きなワニをはじめとするさまざまな爬虫類やカラフルな鳥類が数多く生息しています。ハリケーンによる土手の決壊で住宅街にワニが流れてくる事件もあり、さながら本当のジュラシック・パークといった印象もありました。
私の任地、グアナカステ県リベリア市では、身近な爬虫類といえばイグアナでした。現地では「ガローボ」と呼ばれ、家の近くには巨大なイグアナ像のあるガローボ公園という公園まであったのですが、実物は頭から尻尾の先まで60cmほど。食用にされるわけではないため街中でも繁殖が進んでいて、家の屋根裏や配属先の中庭、公園の木の上など、至るところにたくさんのイグアナがいました。熟して落ちたマンゴーなどをおいしそうに食べていたりするのですが、近づこうとすると、目ざとく気づいてサッと逃げていってしまいます。
とある週末、ガローボ公園の木陰にあるベンチで涼んでいると、突然大きなイグアナが頭上からドサッ!と目の前に落ちてきました。日本には“サルも木から落ちる”ということわざがありますが、「コスタリカではイグアナが木から落ちてくるんだ!」と驚き、妙に感心したものです。
Illustration=牧野良幸 Text=熊谷栄明さん