

 
		ジンバブエ/観光/2021年度1次隊・大阪府出身
| 就職先 | 株式会社トクスイコーポレーション | 
|---|---|
| 事業概要 | 本社は福岡県で、主力事業は冷凍水産物の加工・輸入・販売。国内外に拠点や提携工場などを有し、1974年にインドネシアでエビのトロール漁を行う合弁会社を設立、2020年には同国に加工工場を設立している。 | 
| 略歴 | 1993年 | 大阪府生まれ | 
|---|---|---|
| 2016年3月 | 大学を卒業 | |
| 2016年4月~21年 | 京都市・嵐山のリゾートホテルに勤務 | |
| 2021年8月 | 協力隊員としてジンバブエに赴任 | |
| 2023年8月 | 帰国 | |
| 2024年1月 | 株式会社トクスイコーポレーションに入社 | 
 
		小学校6年から中学校2年までの3年間、父親の仕事の関係でエクアドルに住んでいた新行谷大輝さん。そこで出会ったのが、現地で生活しながらさまざまな分野で活動する協力隊員たちだった。大学卒業後はホテル勤務を通じて観光産業に従事していたが、30歳を前に海外で働きたいと考え始めた時、思い出したのがエクアドルで出会った協力隊員の存在。募集要項で職種に観光があることを知り、自分の経験を生かせると応募を決めた。
配属先はジンバブエ第2の都市ブラワヨにあるホテル・観光業専門訓練校。ここで学生たちにベッドメイキングやフロント業務などの実習を通じてホテル運営の指導をすることが要請内容だった。授業で使うテキストが古い上、生徒全員に行き渡っていないことを知った新行谷さんは、ホテル業を視覚的に理解してもらうため、教材にスライドやYouTubeの動画を積極的に活用した。
実習を行う学校付属のホテルでは顧客満足度調査を導入した。「ホテルスタッフも教員も公務員で、収益性やサービス向上への意識が十分ではありませんでした。宿泊客からの評価を知ることで改善点を見つけ、サービス向上につなげることを目指しました」と振り返る。
活動の傍ら、新行谷さんがよく楽しんだのが食事会。ジンバブエには、仲間が集まる時にバーベキューをする習慣があり、新行谷さんも週末になると同僚や現地の人たちと集まり、食を通じて親睦を深めていった。
「前職のホテルで朝食を担当した経験から食や料理の奥深さを感じていましたが、ジンバブエで食の持つ力の大きさを改めて感じたことが、帰国後の進路選びにもつながっていきました」
帰国後は、転職サイトやJICAが運営するPARTNERに登録することから就職活動を開始した。就職先の希望は、観光業以外を経験したいことと、食に関わる仕事であるということ。そしてJICAの進路相談カウンセラーからのアドバイスでたどりついたのが、株式会社トクスイコーポレーションだった。
「ほかにも何社か検討する中で、取り扱っている水産物の種類が豊富なことと、約100年前に漁業から始まり、現在も日系企業で唯一、インドネシアで天然エビの漁獲を続けている企業精神に興味を引かれ、すぐにエントリーしました」
同社ではすでに協力隊経験者3人が働いており、会社が協力隊活動を応援しているなど、協力隊への理解が深いことも、エントリーの後押しとなった。
現在は、営業職として全国を飛び回っている新行谷さん。商材に関する専門的な知識が求められるため日々勉強だが、それが面白さでもあるという。「将来は新たな商材の開拓を」と夢も膨らませている。
帰国後2カ月ほど経ってから、転職サイトやPARTNERに登録し、求人情報をチェックし始めました。JICAの進路相談カウンセラーからのアドバイスでたどりついたのが、営業職を募集していたトクスイコーポレーションの求人でした。
会社のホームページから採用担当者宛てに履歴書と職務経歴書、志望理由書を送信してエントリーしました。自己PRには、協力隊の経験を交えながら、課題を見つけて解決策を考える自己解決力と、知り合いもいない海外でも生活できる順応力をアピールした記憶があります。志望動機には、協力隊の経験を通じて食の奥深さを知り、食に関わる仕事をしたいと考えるようになったこと、また会社の取り扱い水産物が豊富で、興味を持って働けると感じたことなどを書きました。
「ランチを取りながら会いましょう」と連絡があり、当時、私が住んでいた大阪で、当時の副社長(現 社長)と、私が所属することになる水産事業本部広域営業部の部長の2人と会いました。聞かれたのは、前職や協力隊での活動と、志望動機についてです。ランチミーティングのような和やかな雰囲気で、私には営業の経験がないため不安を感じていると伝えると、「信頼関係をどう築いていくかが大切で、ホテル勤務も協力隊活動も本質は同じだから大丈夫」と部長から勇気づけられたことが印象に残っています。
東京オフィスで水産事業本部東京営業部の部長との面接があり、志望動機や前職、協力隊の活動について聞かれました。スライドや動画で会社概要の説明も受けました。もしかしたら、採用を前提としての最終確認のような位置づけの面接だったのかもしれません。
水産事業本部広域営業部の東京オフィスに所属し、弊社が輸入しているインドネシアの天然エビをはじめとした東南アジアの水産物を、レストランなどに卸す全国の業務問屋に販売しています。食文化もそうですが、人と人のコミュニケーションも、地域によってそれぞれ特色があります。東京から営業に行くと身構えられることもあるのですが、そういった地域で信頼関係を築いて販売していくことが、難しいと同時にやりがいがあると感じています。今は既存の商材を扱うことで精いっぱいなのですが、いずれは新たな商材の開拓にも取り組んでいけたらと思っています。
 
		活動の中でいろいろと試行錯誤していることと思いますが、就職活動では活動の過程における問題解決力やメンタリティ、コミュニケーション力が評価されることが多いです。そのことを企業にきちんと伝えられるように、日記や写真などに記録しておくことをお勧めします。私自身、もっと写真を撮っておけば活動内容を具体的に伝えられたのにと少し後悔しました。不安もあると思いますが、知り合いもいない海外で2年間を過ごすことを決断した勇気があれば、帰国した後もどこにでも飛び込んで行けると思うので、今の活動に自信を持って取り組んでいってください。
https://www.jica.go.jp/volunteer/obog/career_support/index.html
 
	Text=油科真弓 写真提供=新行谷大輝さん