

セルビア/防災・災害対策/2019年度1次隊・福岡県出身
私が活動したセルビアは、バルカン半島の中央に位置し、現在は欧州で唯一、協力隊が派遣されている国です。
セルビアは日本ではなじみの薄い国ですが、実は親日国で、人々は日本のことをよく知っています。その理由の一つが、首都ベオグラードで市民の足として活躍している黄色いバス。これは日本が寄贈したもので、車体には日本とセルビアの国旗が描かれ、両国の友好を示しています。
日本語の挨拶を知っている人が、「こんにちは」「お元気ですか」と話しかけてくれることもあり、本当に日本が好きなことが伝わってきます。
そんな親近感を持てるセルビアですが、他方で、日本と全く違って驚いた文化の一つが、挨拶の仕方です。会うと軽くハグして、頬にキスするのです。しかも右・左・右、もしくは左・右・左と3回も…。これはビジネスで初対面する時であれ、職場で同僚との毎朝の挨拶であれ、老若男女問わずに誰もが行っています。
初めて見た時はびっくりしましたし、さすがに抵抗を覚えたというのが正直なところです。とはいえ、皆が当たり前にやっていることで、私たち日本人がお辞儀するような感覚なのでしょう。頻繁に交わされる挨拶なので、私もすぐに慣れてしまいました。
ただ、複数人のグループ同士で挨拶する時は、少し戸惑うこともあります。なぜなら、5人対5人で会う時は、5人の相手全員とハグやキスをするため、結構時間がかかるからです。
どことなく既視感ある光景だったのですが、思えばまるで日本の名刺交換のようでした。国が変われば挨拶の仕方も変わるけれど、やはりどこか相通じるところもあって面白いと感じます。

Illustration=牧野良幸 Text=阿部純一(本誌)