中西千里さん
中西千里さん

コミュニティ開発/2024年度
2次隊・新潟県出身

活動の様子

配属先は農業・食糧・林業省のエウア支局で、要請は生活習慣病対策のために女性スタッフと共に野菜の栽培や栄養指導、料理教室を実施すること。これまで野菜栽培や住民への苗の配布までしかできていなかったのですが、育てた野菜を使った料理教室を計画中で、別の島に住む栄養士隊員にレシピを教わった巻き寿司や野菜ギョーザを、配属先の同僚たちと試作する予定です。

派遣国生活
配属先のビニールハウスではピーマン、トマト、キュウリ、レタスなど各種野菜を育て、希望する住民には苗を提供している
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同僚と巻き寿司作りをする中西さん。「野菜摂取の必要性は知っていても食べ方を知らないことが、実際に食べることへの障壁になっている印象で、料理教室でレシピを伝えたいと思っています」

暮らしている市、町、村

首都のあるトンガタプ島から船で2時間ほどのエウア島が私の任地で、低山が南北に連なる地形が特徴です。道の隆起が激しく本島とは違った街並みを見ることができます。トンガでは何と言ってもラグビーが人気で、近所にもラグビー場があるほか、子どもたちがボールやペットボトルでパスを出し合っている姿をよく見かけます。

派遣国生活
いろいろな家畜が放し飼いになっていて、豚や牛などの大きな動物も頻繁に見かけるという
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高台の町から海へ向かって続く下り坂が中西さんのお気に入り。「何か悩んでいる時にふらっと散歩にでかけたり、週末に友人と海を眺めながらおしゃべりしたりしてリフレッシュしています」

食べ物

ルーと呼ばれるタロイモの葉で、肉・魚や玉ねぎにココナッツミルクを注いだものを包み、蒸し焼きにしたものがトンガの伝統料理で、キリスト教国のトンガでは日曜日の一般的な料理です。中の食材の種類によって「ルー+食材の名前」と料理名が変わり、主食のタロイモなどと一緒に提供されます。他方、普段は簡単・安価な食事で済ませることも多く、近年はパンやインスタント麺など炭水化物・脂質に偏った食べ物の普及が、生活習慣病発症の一因となっているようです。

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中西さん自身はもっぱら自炊中心。「輸入米やイモ、果物など大抵の食材は手に入りますが、野菜だけは流通が少ないです。最近は配属先での収穫量が増えて、嬉しくてもりもり食べています」
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羊肉を使った「ルー・シピ」(左)と、生魚をココナッツミルクやレモン汁で和えた「オタイカ」(右)

住まい

配属先の職員用住宅が割り当てられていて、通勤時間は徒歩30秒!という環境に暮らしています。各種設備に不便はなく、首都と比べるとやや高緯度で冬場は意外に冷えるので、温水シャワー設備に助けられています。ただ、建物に隙間が多くてアリなどの虫がそこら中から入ってくるため、住み着いているクモとは仲良くしていこうと思います(笑)。

派遣国生活
物干し台も兼ねた玄関ポーチ。「夕日がよく見える場所で、椅子を持ってきてお茶を飲んだり読書をしたりしてくつろいでいます」
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職員が家族で住む想定の住宅なので、寝室が2つあるなど、一人暮らしにはかなり広めの造りとなっている

写真提供=中西千里さん Text=飯渕一樹(本誌)