

カメルーン/コミュニティ開発/2019年度1次隊、2021年度7次隊・三重県出身
私が赴任したカメルーン西部のバンガンテ郡は、雨期には一定の降水量があり、農業が盛んな地域です。そんな任地にもかかわらず、2年間を通してついて回ったのが生活用水の不足でした。
水不足といっても干ばつで地域全体が干上がるのではなく、原因は水道の断水です。水が出ないのが当たり前で、もし出ればラッキーという状態。いつの間にか少し出て、また止まっているので、トイレのタンクに水がたまっているのを見て「あっ、水が出ていたんだ」と知るような生活でした。
そこで利用していたのが、家から数十mのところにある公共の水くみ場。水道より安定的に水が供給されていて、有料でくむことができました。飲み終えた飲料水の10ℓ入りペットボトルを容器にしたのですが、問題は水を入れた後の運び方。現地の人に薦められた“頭に乗せる”というアフリカ定番の方法は、試してみると全く安定せず、首も重さに耐えられそうにありません。周囲の人々のアドバイスを受けながら試行錯誤して行き着いたのは、1つを肩に担ぎ、反対の手でもう1つのボトルの持ち手をつかんで計20ℓを運ぶ!というやり方でした。家までそう長くない距離とはいえ、だいぶいい運動になりました。
断水生活も、慣れると大してストレスを感じなくなっていきます。任地の人々の場合は自宅にそもそも水道がないことも多く、井戸や雨水タンクがあったり、普段から川などの水場を利用していたりと、水道以外に使える水源を確保していました。現在、日本で暮らしていると、きちんと水道が機能していて素晴らしいのですが、水が止まったらどこへ行けばいいのだろう?とふと思う時もあります。

Illustration=牧野良幸 Text=飯渕一樹(本誌)