2025年4月から10月まで開催された大阪・関西万博。参加各国にゆかりのある大勢のOVが直接的・間接的にサポートを行う中、現役隊員の立場から関わった人たちもいた。
例えば、マーシャルの天然資源商業省に配属されている吉田夏喜さん(デザイン/2023年度3次隊)は、活動先が万博業務の担当部署だった。ブースのデザインや設営、万博運営側との調整などの準備段階から携わっており、同僚を伴って業務一時帰国し、ブースのガイドも務めた。
「英語での質問をためらう方も、ブースに日本人がいることで気軽に話しかけてくれて、マーシャルを知ってもらうための貢献ができたと思います。現地の特産品のデザイン改善に向けた来場者アンケートも実施したので、任地へ戻ってからはその結果を基にパッケージ改善などを進めたいです」
ジンバブエ派遣中の行田莉奈さん(マーケティング/2023年度4次隊)も、配属先であるジンバブエ観光局の同僚と共に万博に参加。ブースでは駐日ジンバブエ大使館と協力して来場者に観光情報を提供したほか、来場者のVR体験をサポートする業務も行った。
「来場者の方々に現地の魅力を直接伝える中で『行ってみたくなった』という声を多く頂き、観光促進につながる貴重なコネクションも得ました。今後は、スタディツアーの開発やメディア向けウェブサイト構築など、私の任期終了後も見据えた活動を続けていきます」
8月までパプアニューギニア(以下、PNG)のソゲリ小学校で活動していた内山翔太さん(青少年活動/2023年度1次隊)は、任期終盤となる7月、配属先の児童6人と教員を伴って「万博国際交流プログラム(※)」の一環で日本を訪れた。赴任当初から配属先と奈良市立ならやま小中学校などとのオンライン交流を続けてきたほか、昨年からは万博国際交流プログラムの下、大阪市立加美北小学校とも交流を重ねており、今回の来日に結実した。10日間の滞在期間の最後には万博会場で、PNGのナショナルデーに全員で参加。児童たちは舞台上で国家を斉唱するなどした。
「PNGの子どもたちは、海外はおろか学外で学ぶ機会にさえ恵まれず、将来像をイメージするロールモデルになる人と出会う機会も乏しい。彼らが自らのキャリアを考える機会は決して多くないので、今回の来日が日々の学びへのモチベーションにつながればと願っています」
※内閣官房が登録自治体と万博参加国の相互交流を支援する事業。
Text=工藤美和 Photo=飯渕一樹(本誌) 写真提供=吉田夏喜さん、行田莉奈さん