BOOKS                                               協力隊経験者による書籍




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世界で花開く日本の女性たち
国際機関で教育開発に携わるキャリア形成

編著者:小川啓一、水野谷 優
発行:株式会社 東信堂
定価:2,530円(本体2,300円+税)

国際的に活躍する女性たちのキャリアを紹介
OVの進路を考える一冊

教育部門で国際的に活躍する女性たち11人の寄稿から成る本書。章ごとに1人が自らの経歴を紹介する形式で、幼少期・学生時代に国際協力の世界への関心を持った経緯、キャリアパスにおける紆余曲折、現職のやりがい、後進へのアドバイスなど、多岐にわたるトピックが語られている。タイトルに“女性たち”と銘打つだけにキャリアの中での妊娠・出産について言及される章もあるほか、協力隊OVによる章では、任期終了後の進路決定や協力隊経験を通じて得た事柄などにも触れられており、国際分野を目指すOVには参考になる一冊だ。

【編著者の中のOV】

  • 水野谷 優さん〈バヌアツ/青少年活動/1997(平成9)年度2次隊・福島県出身〉
    協力隊経験後、米コロンビア大学大学院への進学や、国際労働機関(ILO)、国際連合児童基金(ユニセフ)などの国連機関での勤務を経験。2023年より国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)国際教育計画研究所にて技術協力部部長を務める。

  • 【執筆協力者の中のOV】

  • 岡本紗貴さん(ベナン/コミュニティ開発/2018年度2次隊・広島県出身)
    コロナ禍での一斉帰国後、開発コンサルティング会社やJICAガーナ事務所を経て23年よりユニセフマダガスカル事務所で教育専門官として勤務。

  • 小原ベルファリゆりさん〈セネガル/青少年活動/1997(平成9)年度2次隊・埼玉県出身〉
    フィリピンのNGOでのインターンや協力隊を経験後、開発コンサルティング会社や世界銀行、ユニセフなどでの勤務を経て14年より経済協力開発機構(OECD)へ。現在、就学前・学校教育課長を務める。
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国際ソーシャルワーク
─ 新たな概念構築

編者:東田全央、秋元 樹、松尾加奈
出版:株式会社 旬報社
定価:3,300円(本体3,000円+税)

【編者の中のOV】

東田全央さん〈スリランカ/ソーシャルワーカー/2012(平成24)年度3次隊・兵庫県出身〉
国内でソーシャルワーカーなどの経験を積み、協力隊に参加。帰国後は研究者としてJICA研究所や青森県立保健大学、アジア国際社会福祉研究所などで勤め、JICA長期専門家も経験。現在、島根大学学術研究院人間科学系准教授。

国境を超えた社会福祉実践について論じる学術書
グローバル化の中の課題にも触れる一冊

大きく2つの部に分かれる本書は、第1部では西洋中心に構築されてきた従来の“国際ソーシャルワーク”とは異なる新たな定義・概念を模索し、特にソーシャルワークの専門家向けとなる。第2部はより広く、国境・国家の歴史や概念、国籍をめぐる社会課題、非西洋の実践事例としての仏教ベースのソーシャルワークなど、国際ソーシャルワークを考える基礎となる知見が紹介されており、グローバル化の中での“人”の福祉を多角的に考える上で示唆に富んだ一冊だ。

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グローバル格差を生きる人びと
─「国際協力」のディストピア

著者:友松夕香
発行:株式会社 岩波書店
定価:1,034円(本体940円+税)


友松夕香さん〈ブルキナファソ/村落開発普及員/2002(平成14)年度3次隊・大分県出身〉
2006年に東京大学大学院博士課程に進学し、07年は国際アグロフォレストリー研究センターナイロビ本部で訪問研究。15年に博士号(農学)取得。プリンストン大学のポスドク研究員、愛知大学准教授などを経て、23年より法政大学経済学部准教授、24年より同教授。

西アフリカ研究に取り組むOVが
開発援助の現場で見た課題

“「国際協力」のディストピア”という副題を掲げた本書では、著者が隊員時代の体験や研究者としての現地調査を踏まえ、「先進国」から「途上国」への支援という開発援助の枠組み自体に対して問題を指摘している。国家間におけるさまざまな側面での格差が現地社会に影響を及ぼし、人々による国際詐欺や陰謀論、反欧米主義などの現代的な課題の拡大へとつながっている様子は、国際協力に直接携わっている人でなくとも一読の価値がある。

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山本岳人さん(ベトナム/番組制作/2021年度1次隊・石川県出身)
大学卒業後、石川テレビで報道記者として勤務。2018年に『南京の日本人』でFNSドキュメンタリー大賞優秀賞受賞。21年から同局を休職して協力隊に参加。ベトナムテレビ(VTV4)の日本語情報番組の制作をサポートした。23年9月の任期満了後、復職。

ベトナム隊員がTikTokでインフルエンサーに
帰国後も両国をつなぐ

石川テレビ放送から現職参加し、日本語番組の認知度アップを目指した山本岳人さん。自らが街を散策するTikTok動画を配信し、数十万人のフォロワーを獲得。復職した石川テレビでは、日本の自治体・企業からベトナムへの情報発信をサポートする事業「ベトナムドウガ」を立ち上げるなど、映像を通じて両国をつないでいる。
〈山本さんのTikTokチャンネル〉はこちら

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長光大慈さん〈ベネズエラ/環境教育/2005(平成17)年度3次隊・広島県出身〉
アジア圏で日本語メディアを運営するNNAでの勤務や記者業、フリーライター業などを経て協力隊に参加。帰国後、東日本大震災を機に立ち上げたメディアを発展させる形で、2012年にNPO法人開発メディアを設立。同法人の代表とganasの編集長を務める。

途上国の今を伝えるウェブメディア
語学を通じた途上国支援も

2012年に立ち上がったウェブメディア「ganas」。途上国や国際協力分野に特化し、隊員らによる記事も数多く掲載してきた。記事発信以外に、ライターや記者になるための研修のほか、最近はベネズエラ人やベナン人からスペイン語・フランス語を受講することで現地を支援できる仕組みもつくっている。
〈ganas途上国・国際協力のメディア〉はこちら

Text=飯渕一樹(本誌)