JICA海外協力隊というと、国際協力に関わる専門的なスキルを要するイメージがあるかもしれないが、必ずしもそうではなく、思いがけないスキルや身近な経験を生かす人も多い。いくつかのケースを見ていこう。
JICA海外協力隊というと、国際協力に関わる専門的なスキルを要するイメージがあるかもしれないが、必ずしもそうではなく、思いがけないスキルや身近な経験を生かす人も多い。いくつかのケースを見ていこう。

マダガスカル/看護師/2018年度2次隊・奈良県出身
配属先:基礎保健センター
活動概要:現地の村々を巡回して各地域の保健ボランティアと一緒に乳幼児の健診やアドバイスなどをした牧田さん。離乳期の幼児が市販の揚げ物や野菜スープなどばかり取っているのを見て、栄養価が高くかつ安価な素材でできる“離乳食”を母親たちに提案しようと考えた。考案したのが豆乳を使った蒸しパンだった。
「豆乳は高たんぱくな上に牛乳よりも低価格。また、レシピは簡単にし、分量をgや㎖ではなくスプーン何杯などと表現することで計量器具がなくてもわかるように工夫しました」
普及のため任地で実演指導をすると好評で、他の地域の隊員たちと協力して各地で実演する機会も増えたことから、レシピ本を作成するなどして一層の普及に努めた。

日系/ブラジル/日本語教育/2018年度1次隊・滋賀県出身
配属先:日系日本語学校
活動概要:日系人協会が運営する日本語学校で、日本語指導のサポートや現地教員の育成、日本文化を盛り込んだ授業などに取り組んだ近藤さん。日本文化に関する活動として行ったのが、地震を想定した避難訓練だ。
「ブラジルでは地震はほとんどないのですが、いつか日本へ行きたいと話す生徒たちが実際に日本を訪れた時のために実施しました。東日本大震災の時、日本にいた外国人が苦労したという話を聞いたことがあったので、赴任前から実施しようと温めていた企画です」
訓練では机やいすの下に隠れて頭を守る動作を行い、校舎外への避難までデモンストレーションして日本での震災時の映像も見せた。「普段にぎやかな生徒たちも静まり返り、真剣な様子でした」。

ラオス/コミュニティ開発/2019年度3次隊・兵庫県出身
配属先:造林センター
活動概要:森林の回復を目的としてJICAの資金援助で設立されたセンターで、北川さんが配属されたのは職業訓練部門。森林資源を保護しつつ活用するため、地域住民から成る生産者が紙すきや紙布作りをしていたり、職員が紙のうちわを作る方法などを指導していた。品物の販路拡大やニーズ分析などに取り組んだ北川さんはある時、同期隊員を通じて日本の伝統技術による和紙を手に入れて現地の人々に紹介。その薄さ・白さに関心を持ってもらうと共に、日本製の和紙、配属先の手すき紙、ラオスの別地域産の手すき紙の3種類で、同僚にミニうちわを作ってもらうことを思い立った。厚みや触り心地がそれぞれ異なる紙でできたうちわは、物産会などで展示することで顧客ごとの好みの違いを知る上で役立ったという。
Text=飯渕一樹(本誌) 写真提供=ご協力いただいた各位