キルギス
キルギス
理学療法士/2024年度2次隊・
滋賀県出身
首都ビシュケクから車で5時間ほどのナリン州の州都、ナリン市が任地です。山々に挟まれた谷あいにあり標高は2,300mほどで、冬は気温が-20℃、夏は30℃と寒暖差が大きい気候です。市内にはスーパーが1軒と市場がありますが高い建物はなく、のどかで自然豊かです。中心市街から少し離れると羊や馬、鶏などの家畜を飼う家が点在し、夏には放牧のため家畜を集めて牧草地に移動する光景が風物詩です。200頭ほどの羊や馬が道を埋め尽くす様子は圧巻です。散歩中に道で遊牧民に出会って仲良くなり、馬に乗せてもらったり、ユルタという移動式住居に招いてもらったりもしました。
配属先はナリン州立総合病院という州内最大の病院です。私は院内唯一の理学療法士として各診療科の患者へのリハビリテーションに携わるほか、退院後の経過の評価や、理学療法の院内勉強会の実施などが主な活動です。キルギスの公立病院では入院期間が短く、通院できない患者はリハビリを中断してしまいがちです。そこで患者宅への訪問リハビリを提案すると病院も賛同してくれて、取り組みを開始しました。今は同僚の運動インストラクターと2人一組で、病院から車で1時間圏内にある数軒の患者宅を訪問していますが、今後は他のスタッフも巻き込み、私の帰国後も継続される仕組みを作りたいと思っています。
野菜や肉と太麺を炒めトマトソースで和えた「ラグマン」は定番の家庭料理で、私の好物です。キルギスの麺料理は多彩で、お祝い事などで出されるごちそう「ベシバルマック」は、羊1頭を解体して煮込み、ゆでた麺と大皿に盛りつけるという豪快なもの。時には羊の頭が丸ごとのっていることも!キルギスの主食は丸いパン「ナン」で、インドのナンとは形も味も違いますが窯に張りつけて焼くのは同じで、特産の「白い蜂蜜」をつけて食べます。夏には町に「シャシリク」という串焼き肉の屋台が出てにぎわいます。馬の乳を発酵させた馬乳酒「プムズ」も、夏に各家庭で作られて客にも振る舞われますが、強烈な風味が私は少し苦手です。
自宅はソ連時代に建てられた、古くて頑丈な4階建て集合住宅で、リビング、寝室、キッチン、トイレとシャワーがあります。お湯も出ますが、予告なしに断水も起こるので、生活用水は常にストックしています。停電も月に1回ぐらいはあり、突然プツンと消えるので最初はびっくりして、懐中電灯をつけたり外に出てみたりあたふたしましたが、たいてい12時間以内には解消するとわかり、最近はじっと待つのにも慣れました。窓からは美しい山々が見渡せて、見るたびに日々の疲れが吹き飛びます。
写真提供=伊吹隆聖さん Text=成松佳子(本誌)