

バヌアツ/マーケティング/2018年度1次隊・兵庫県出身
| 就職先 | アイ・シー・ネット株式会社 |
|---|---|
| 事業概要 | 150カ国以上の開発途上国で、農業・水産・保健・ジェンダー・ガバナンス・民間連携など20の専門分野で実績を持つ開発コンサルティング企業。ODA(政府開発援助)事業や、現地ネットワークを活かした日本企業の海外展開支援、学研グループのグローバル展開推進など、多角的な事業を行う。 |
| 略歴 | 1987年 | 京都府生まれ、幼少期に兵庫県に移る |
|---|---|---|
| 2009年3月 | 大学卒業 | |
| 2011年3月 | 大学院修了、MBA取得 | |
| 2011年4月 | 通信販売会社入社 | |
| 2018年7月 | 協力隊員としてバヌアツ赴任 | |
| 2020年3月 | コロナ禍により帰国(同年7月に任期終了) | |
| 2020年10月 | 大学院入学 | |
| 2022年9月 | 大学院修了、情報システム修士取得 | |
| 2023年5月 | アイ・シー・ネット株式会社入社 |
大学、大学院と経営学を専攻していた髙橋晃人さんが国際協力に関心を持ったのは、大学院時代に研究したソーシャルビジネスと、フィールドワークで訪れたバングラデシュでのストリートチルドレンとの出会いがきっかけだった。国際協力に貢献するためのプランを考え、まずはスキルを身につけようと、ソーシャルビジネスに取り組む民間企業に就職。障害者支援事業や新規ブランドの立ち上げなど幅広い業務を経験し、20代で管理職としてマネジメントにも携わった。大きな仕事を任されやりがいも感じていたが、初心を思い返し30歳を迎えるタイミングで退職、協力隊に参加した。
マーケティング隊員として配属されたのは、バヌアツの水産局開発・漁業部のマレクラ島事務所。日本が草の根技術協力事業で整備した1カ所を含む、島内複数の鮮魚マーケットの経営改善が主な要請だった。島で流通しているのは牛肉と輸入鶏肉が主流で鮮魚は限られており、マーケットも赤字が続いていた。髙橋さんは帳簿や売り上げデータを分析し、値つけの見直しや原価計算の導入など、基本的な体制の改善を目標に設定。根気強く指導していくことで、1年がたつ頃には、マーケットのマネージャーが自ら会議を開き改善策を提案するまでになった。
現地の人が自律的に行動できる状態になったことで目的を達成したと判断した髙橋さんは、次に企画調査員(ボランティア事業)と相談しながら首都ポートビラの省庁を回り、新たな要請を探すという異例の行動に出た。その結果、2年目は水産局本部に所属し、首都および離島の鮮魚マーケットの経営改善に取り組むこととなった。
活動の中で「途上国に、よりスピード感のある大きな効果を生み出すにはICTを活用した仕組み作りが必要だ」と感じた髙橋さんは帰国後はICTを学ぶために大学院へ入り直し、ICT技術を活用した国際開発の研究に取り組んだ。並行して、後に勤務することになるアイ・シー・ネット株式会社から委託を受け、同社がバヌアツで実施していたJICAの技術協力プロジェクトにも参加した。協力隊時代に同社のプロジェクトメンバーと出会い、帰国後も交流を続けていたことが縁だった。
こうした経験を通じ開発コンサルタントの仕事への関心を高めていった髙橋さんは、同社への応募を決めた。「現地の人と一緒に働く国際開発の仕事を見て、改めて自分は現場が好きだと実感しました。プロジェクトリーダーの仕事ぶりや人柄に引かれ、『この人と一緒に仕事がしたい』と思ったのも大きかったです」
入社から約3年、今後は大学院での博士号取得も目指したいという髙橋さん。「実務と学術研究の場を行き来しながら経験を積み、自分の引き出しを増やしていきたい」とさらなる意欲を見せている。
帰国後、大学院での研究と並行して個人事業主として経営コンサルタントの仕事を始めました。その一つに、アイ・シー・ネットからの業務委託があり、バヌアツでの技術プロジェクトに参加して現地にも何度か渡航しました。大学院入学時には、進路として国際機関も考えていましたが、プロジェクトリーダーから同社に誘われたこと、私自身が開発コンサルタントの仕事に関心を持ったことから、現場の社員が推薦する内部紹介制度を利用し同社にエントリーすることを決めました。
履歴書と職務経歴書を提出しました。職務経歴書では、協力隊の経験と民間企業でのマネジメント経験を整理し、経験・知識・技術としてまとめました。
まずは本部長面談があり、協力隊での活動においてどのように課題解決の工夫をしたのか、具体的なエピソードなどを話しました。また、私が応募した開発コンサルタントという職種の場合、給与が完全売り上げ連動(※)であることの説明を受けました。その上で、従事する覚悟があるかどうかについても確認されました。
※現在の制度では個人の売り上げに応じた出来高制と固定給制をあわせもつ年俸制となっている。
社長との面談では、協力隊時代のバヌアツでの活動などを聞かれましたが、面接というよりも、ざっくばらんな雰囲気で雑談をしたという印象です。社長はバヌアツの案件のプロジェクトリーダーと同期で現場にも精通しているため、現場でのエピソードなども具体的に話しました。
JICAから受注した技術協力プロジェクトの案件にいくつか携わっています。メインで担当しているのは、モザンビークの零細漁業開発に向けた水産バリューチェーン強化プロジェクトと、パラオの水産開発のためのマスタープラン策定プロジェクトの2つ。一年の半分は現地に出張しています。受注企業は1社の場合もあれば複数社合同の場合もあり、関わり方はさまざまです。現地の人も関わってくるため、業務遂行にはコミュニケーションとマネジメントの意識は重要です。私はマーケティングの専門業務に加えて、プロジェクトの副責任者である副総括の立場で、案件全体が円滑に進むよう総括と連携し、人員配置や業務の進捗管理などにも力を注いでいます。
現役の隊員に伝えたいのは、第一に、自分の思いではなく、現地の人の思いをまず出発点にしてほしいということです。時には同期や先輩隊員の成果が気になることもあるかと思いますが、自分のペースを大切にしてください。また、とりわけ進路に迷っている人に伝えたいのは、協力隊の活動を経験すれば、自分では気づいていない成長が必ずあるということ。わかりやすいところでは異文化理解能力、語学力などですが、私自身は家族を大切にするバヌアツの人々を見て、人に対して優しくなれたと感じています。これも成長ですし、そうした変化を楽しんでください。その変化を自信にして、次のステージに挑戦してほしいです。
https://www.jica.go.jp/volunteer/obog/career_support/index.html
Text=油科真弓 写真提供=髙橋晃人さん