古市啓子さん

チュニジア/コミュニティ開発/2021年度3次隊・静岡県出身

暑く乾燥したチュニジアでの暮らし
現地で感じた味覚の変化

   私が活動したチュニジア第3の都市・スース市は、夏場は気温が40℃台に達し、年間を通して雨が少なく乾燥した環境です。かんがいされている場所以外は草も生えず、乾燥に強いオリーブやかんきつ類が栽培されている程度。少し内陸に行くと、土壌の塩分濃度が高くて何も育たないため養鶏くらいしか生計手段のない地域もあります。

   厳しい環境という感のある任地ですが、その分、日本よりずっとおいしく感じる物が多くて印象的でした。例えば果物は大地に含まれる水分が少ないせいか実の甘味が凝縮されていて、特に日本では見かけない平たい形のモモは本当に美味でした。

   また、活動で訪ねる農家の人たちが出してくれるのは、蜂蜜や砂糖がたっぷり入った手作りレモネード。私は甘い物が好きではなく、このレモネードも当初は甘過ぎると感じていたのですが、現地の暑さの中では不思議とおいしく感じられて私の常備品に。同僚が作ってくれたイチゴのジュースも本当においしかったです。

   そして、炭酸飲料やアイスクリームの類いも元々好きではなかったのですが、任地の夏にはよく合いました。冷たいアイスやシュワシュワした炭酸が炎天下の喉を潤し、ひと息つかせてくれたものです。チュニジアには全般的に甘いものが多かったですが、それは南部のサハラから熱風が吹く国ならではの味覚だったのかもしれません。

   帰国した今、すっかり味覚は元通り。当時飲んだサイダーはなぜあれほどおいしいと感じたのだろう?と自分で不思議に思うほど。ただ、現地のモモの味は忘れられず、また食べたい!と思う毎日です。


あの日の、地球の、あの場所で。

Illustration=牧野良幸 Text=飯渕一樹(本誌)