小さなハートプロジェクト実施の流れ

まずは各国のJICA事務所・支所に相談し、本来の協力隊活動に支障がないかなどを検討してもらい、許可を得た上でプロジェクトに取り組む。

課題解決のための
プロジェクトを立案する
  • 生活の質の向上などに寄与するもの
  • 識字教育や教育施設の設備改善
  • 基本的生活ニーズを満たすための技術指導など
申請書を作成する
プロジェクトを立案した背景や目的、期待される効果、実施スケジュール、概算費用など必要項目を記入
JICA事務所・支所を通じて
協力隊を育てる会に申請する
申請から支援金が届くまでは最短でも4カ月。スケジュールには余裕を
協力隊を育てる会で
審査が行われる
国際協力への知見が豊富な審査員が複数名で審査を実施
審査を通過したら
支援金協力を募る
協力隊を育てる会が企業・団体・個人などに支援金を募る。隊員自身から心当たりの支援金協力者を提案してもらえれば、協力隊を育てる会から声がけ・説明もしている
支援金の入金・
現地でプロジェクトを始動
支援金の上限は3,000米ドルだが、申請額の10%は通信連絡費や送金手数料などとして引かれるため、送金額の上限は2,700米ドル。 ※他に経由銀行・着金銀行での各種手数料がかかる場合があります。
プロジェクトの報告
最終報告書をプロジェクト終了時にJICA事務所・支所に提出する

担当者からのアドバイス

プロジェクト立案では、現地コミュニティを巻き込みよく相談して考えましょう。また、申請書作成では、プロジェクト対象をよく観察し、①支援の妥当性、②プロジェクトの有効性、③帰国後の継続性という3つのポイントを盛り込みましょう。

小さなハートプロジェクト活用事例

太田健司さん

ウガンダ奥地の私設学校に
図書館を建設し教科書を寄贈

太田健司さん

ウガンダ/小学校教育/2021年度1次隊・東京都出身

   公立中学校の教壇に立つ中で、自分で経験したことを生徒に伝えたいという思いが強くなり、協力隊に参加した太田健司さん。ウガンダの首都カンパラからほど近いルウェロ県の小学校に配属された。同校の教頭が設立に関わった貧困地域のコミュニティスクールを案内してもらったことが、小さなハートプロジェクト活用に至るきっかけになった。

「その学校は配属先より奥地のカベンベ村という水道インフラもない村にありました。とても簡素な建物で勉強している子どもたちの姿に衝撃を受けました」

   村の子どもたちが通える距離に学校がなく、貧困家庭も多いことから、地元有志が立ち上げて運営している学校だった。太田さんは「この子たちのために自分にできることはないか」と教頭や先生たちと相談した上で、教科書を寄贈し、それを収蔵する図書館を造ることにした。学校に教科書がほとんどないため、先生たちは記憶に頼って授業を行っていたからだ。

   配属先での活動でない以上、JICAの現地業務費は使えない。太田さんは派遣前訓練のガイダンスで聞いた「小さなハートプロジェクト」を思い出し、企画調査員(ボランティア事業)に相談して申請することにした。現地関係者による出資や協力も含めることで必要な金額を確保できる計画だったが、審査を通らない場合も考え、先生方には確約はできないことも伝えた。

   無事に審査が通り、図書館の建設がスタートしたが、現地の建設業者との協働が太田さんを悩ませた。

「今週中にレンガを積み上げると約束して、週末に現場を見に行くと、一つも積まれていない。最初は怒ってしまったこともありましたが、常識が違うのだと受け入れ、焦っても仕方ないと思えるようになりました」

   完成は予定より3カ月近く遅れたが、「図書館も教科書も本当に喜ばれて、やってよかったと心から思いました」。

   帰国後は再び中学校で教員を続けている太田さん。

「ウガンダでの経験を伝えることで、先生みたいな活動をしてみたいと言ってくれる生徒もいて、嬉しく思っています」

日本でも、世界でも─協力隊と共にある〝応援者〟たち
カベンベ村にある学校「ディバインジュニアスクール」の教室。ボランティアで教えている先生もいる
日本でも、世界でも─協力隊と共にある〝応援者〟たち
完成した図書館の壁には、協力隊の仲間たちにも手伝ってもらい、子どもたちや保護者、先生方、地域の人たちの手形で虹を描いた

Text=阿部純一(本誌)   写真提供=太田健司さん