

ソロモン/環境教育/2017年度1次隊・静岡県出身
| 就職先 | アジア航測株式会社 |
|---|---|
| 事業概要 | 航空測量・空間情報技術を基盤に、社会インフラ、防災、環境、都市計画など幅広い分野でコンサルティングを行う。森林モニタリングでは、航空レーザ測量や衛星データ解析を用いて森林資源を高精度に把握し、自治体などの森林経営計画を支援している。 |
| 略歴 | 1994年 | 静岡県生まれ |
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| 2017年3月 | 酪農学園大学卒業 | |
| 2017年4月 | 酪農学園大学大学院入学 | |
| 2017年6月 | 休学し、協力隊員としてソロモンに赴任 | |
| 2019年4月 | 大学院復学 | |
| 2019年6月 | ソロモンより帰国 | |
| 2021年3月 | 大学院修了 | |
| 2021年4月 | アジア航測株式会社入社 |
酪農学園大学で野生動物について学んでいた遠藤穂奈美さんが国際協力に関心を持ったのは、協力隊経験のある教授の金子正美さん(マレーシア/村落開発普及員/1989年度1次隊、ほか)や卒業生たちから、協力隊の活動について聞く機会が増えたことがきっかけだった。さらに大学2年時に、野生動物の研究と女性支援を行う大学の講師が案内するケニアのエコツアーに参加。現地の子どもたちに、不要になった衣類などをプレゼントして満足している自分に違和感を覚え、「もっと何かできないだろうか」と国際協力への思いが高まった。そして、進学したばかりの大学院を休学し、協力隊に参加することを決めた。
配属先はソロモンの首都ホニアラにある国立の植物園。広大な天然林を含めて19haもの敷地を持つ同園での要請内容は環境教育の企画・立案、市民による利用の活性化、植物標本の管理と多岐にわたっていた。その中で遠藤さんは、ソロモンで深刻化する森林資源管理不足の問題に関するパンフレットを製作し地域で配ったり、小学校での植林デモンストレーションの実施や苗木栽培についての冊子の配布などに力を入れた。
活動を続ける中で、遠藤さんが特に改善すべきと感じたのは、ポイ捨てが常態化している園内のごみ問題だった。要請内容には含まれていなかったがそれを放っておけないと感じ、一人で園内のごみ拾いを始めたという。その姿が職員たちを動かし、最終的には大型トラック5台分ものごみを回収する清掃事業へと発展していった。自らの小さな行動が周囲を動かした経験は、遠藤さんにとって大きな手応えとなった。
活動中は帰国後に就職することも考えたというが、最終的に大学院復学を決めた。活動の中で社会人経験がある隊員との力の差を感じることが度々あり、国際協力には確かな知識と技術が必要だという思いを強くしたからだ。大学院では金子さんの研究室に入り、「ソロモンの持続可能な森林資源管理」を研究テーマとした。隊員時代、活動でジャングルに入った際に、森林の健康状態や資源量などを把握しておくことの重要性を実感し、その手法を研究したいと考えたからだ。金子さんがJICAの技術協力事業「ソロモン国における持続的森林資源管理能力強化プロジェクト」に専門家として関わっていたことも研究を後押しした。そして大学院修了後、金子さんの推薦を受けて、森林計測を行うアジア航測株式会社に応募、入社した。
協力隊で活動し、大学院での研究対象でもあったソロモンとのつながりは個人レベルでは今も続いていて、今後も途絶えさせたくない、と遠藤さんは思っている。習得した森林計測の技術を武器に、再びソロモンの森林資源管理に貢献できるチャンスをつかむことが、将来の大きな目標となっている。
大学院1年目の時に、森林資源の調査などでは国内トップクラスの技術を持つ会社として、金子正美先生からアジア航測を就職先の候補として紹介してもらいました。森林資源管理を学んでいた私にとって、航空レーザ測量などスケールの大きい技術を持つ同社は魅力的で、研究内容とも直結していました。また、同社で働いている大学の先輩から会社について直接話を聞けたことで、ここで働きたいという思いを強くし、同社にのみエントリーすることにしました。
履歴書と金子先生の推薦状を送付しました。志望動機には、協力隊での経験を通じて森林への関心が高まったこと、大学院では衛星画像を使った研究に取り組んでいたこと、管理が行き届かずに放置された日本の森林問題に関心を持つようになり、より深く知りたいと考えるようになったことを書きました。そして、国内で技術を磨き、将来は海外にも貢献したいという思いも伝えたと記憶しています。
コロナ禍による緊急事態宣言が出される直前、住んでいた北海道から神奈川県の本社を訪れ、対面で面接を受けました。面接官は技術部長で、志望動機に加えて、協力隊での活動内容や文化の違う環境で働く中での工夫などを聞かれました。海外志向はありましたが、自分の実力不足を感じていることも話したところ、「国内でしっかりと技術を身に着けた上で、海外事業などのチャンスがあれば担当することもできる」と言われ、嬉しく感じたことを覚えています。翌5月、採用決定の通知をもらいました。
入社時からICT林業課に所属していて、入社後は、森林資源解析を専門とする上司の下で、小型飛行機からレーザを照射して樹木の量や高さを調べる航空レーザ技術を学びました。森林内での測量調査にも同行しながら、データ解析の基礎を一つひとつ身につけていきました。その後、出産・育児休暇を経て復職し、現在は航空レーザ解析に加え、衛星画像を用いた病木・枯木の調査も担当しており、両方の技術を使い分けて広域的な森林モニタリングの仕事に携わっています。2026年度からは衛星画像解析関連の会社に出向となるので、技術をさらに深く学びたいと思っています。
まず伝えたいのは、人とのつながりを何より大切にしてほしいということ。私自身、今こうしてやりたいことができているのも、現地での出会い、大学の教授や先輩との出会いからだと感じています。そして、皆さんは協力隊に参加した時点で、十分な行動力があるということも伝えたいです。周囲も同じ隊員ばかりだと気づきにくいかもしれませんが、異国の地へ飛び込む決断をしたこと自体が卓越した行動力の証しであり、そこで得られる経験は貴重なものです。隊員仲間には驚くほど“すごい人”もいれば、“変わった人”もいますが、彼らとも協力隊に参加したから出会えたわけで、そのつながりはきっと大切な財産になると思います。
https://www.jica.go.jp/volunteer/obog/career_support/index.html
Text=油科真弓 写真提供=遠藤穂奈美さん