

マラウイ/小学校教育/2021年度1次隊・京都府出身
私の任地はマラウイ湖に面したモンキーベイという田舎の町でした。住まいの玄関を入ってすぐのリビングは、元は屋根のない空間だったらしく、トタン張りの屋根も玄関ドアも隙間だらけ。そのため虫がたくさん入ってくるだけでなく、天井を見るとヘビが顔を出していたり、コウモリが壁を登っていたり、ネズミが床を走り回ることもありました。
生き物の中で特に私を楽しませてくれたのがカエルです。着任して1カ月ほどたったある時、シャワールームで水浴びしていると、カエルが排水口から顔を出しているのに気づきました。「なぜ排水口の中に?」と思いましたが、毎日私が水を浴びる午後4時ごろには必ずそこにいます。放っておくと、そのうちカエルは3匹に増えていました。
私は初めにいたカエルに「カエサル」、他の2匹にもそれぞれ名前をつけて愛でていました。彼らとの同居が始まってから、帰宅して水を浴びる時には「ただいま」と挨拶していました。一つ不思議だったのが、彼らがどこから入ってくるのかわからないことでした。毎晩暗くなる頃に、玄関の隙間から外へ跳び出し、夜の村へ姿を消しているのです。
そんなある日、謎が解けました。早朝のまだ薄暗い時間、目が覚めて寝室から出た時に、カエサルが玄関ドアの隙間から帰宅するところに出くわしたのです。リビングを通り、1段高くなっているシャワールームにジャンプして入っていきました。「自分の家だと認識しているんだ!ちゃんと玄関から入ってきてるんだ!」と感動しました。
レジャー施設もない任地で、私を楽しませてくれた生き物たちを今も思い出します。

Illustration=牧野良幸 Text=阿部純一 (本誌)