日本と関わりの深い配属先での活動や、日本語教育隊員としての派遣といったケース以外でも、
日本人ボランティアとして赴任するだけで任地では目立ち、日本のことをいろいろ聞かれたりするもの。
ここでは、今回の取材に登場した先輩隊員たちに、日本についての質問にどう返事をしていたか伺いました。
日本と関わりの深い配属先での活動や、日本語教育隊員としての派遣といったケース以外でも、
日本人ボランティアとして赴任するだけで任地では目立ち、日本のことをいろいろ聞かれたりするもの。
ここでは、今回の取材に登場した先輩隊員たちに、日本についての質問にどう返事をしていたか伺いました。
平仮名・片仮名・漢字の3つの文字を混ぜて使う日本語。他の国では珍しい仕組みなので、それを知った人からはなぜなのか?どのように機能するのか?と疑問を持たれるだろう。歴史的な背景からじっくり説明するのもいいが、本特集の先輩隊員はどう答えたのか。
私の場合、ドミニカ共和国人からは「文字が3種類もあるなんて難しいね!」と言われて、疑問というよりは驚きが強い様子でした。そういう時は、それぞれの文字の役割という切り口から使い方を説明し、その組み合わせがあるから理解しやすくなるのだと話しました。
例えば、平仮名は単語と単語を結びつける、片仮名は外来語や強調したい単語に使う、漢字は表意文字なので同音異義語の区別に役立つ…などと具体的な例文も使いながら伝えるようにしました。
日本語教師として教えてきて、文字が増えるにしたがって脱落していく生徒たちの姿が印象に残っています。平仮名まではまだ頑張ってくれるのですが(笑)。教える立場から述べると、私は「外国のものは片仮名で書くから、これを覚えると自分の名前が書けるよ」と言ってモチベーションを刺激しました。
文字のことから少し離れますが、当時はNHKで大河ドラマ「光る君へ」が放送中で、国際放送で視聴した生徒からドラマ内のことについて聞かれたことがありました。私も詳しくないので「ひえー!」と思いながら、自分でも調べてから答えるようにしていました。
今や日本のアニメなどを通じて、任地の一般の人たちも日本に関するイメージを大なり小なり持っていることが珍しくない。当たり前の習慣などに対して、外国人の目を通した素朴な疑問を投げかけられると答えに窮することもあるが、先輩隊員のケースを紹介する。
ウズベキスタンの場合、文化的に日本と似ているところもあるので、暮らしの様子や習慣に関して質問されることは意外に少なかったです。配属先の大学生の中にはアニメ好きの人もいて、それについて聞かれたことはあったのですが、私のほうが「ルカさん、本当に日本人ですか?」と驚かれるほどアニメを知らない人間なので、逆に質問し返す状態でした(笑)。
ともあれ、自分にそこまで引き出しがあるわけではないので、文化のことも含めて何か聞かれた場合には、日本にいた時の写真など、見てわかるものを示すよう意識していました。
家などの入り口で靴を脱ぐことなどをアニメや漫画から知る人も多く、日系人以外のドミニカ共和国人からも、どうしてなのかと聞かれたことを覚えています。そこで話したのは「日本人は清潔好きなんだよ」ということです。さらに内と外の概念も説明し、「“内”はきれいにしておく場所で、玄関を境界として外の汚れを持ち込まないようにしている」といった説明もしました。床に座ったり布団を敷いて寝たりという習慣にも触れ、「今はベッドで寝る家庭も多いけれど、部屋をきれいにしておく習慣は昔から残っている」とも教えました。
約10年前、アフリカで日本語教師の仕事をした時には、素直に文化への疑問が生徒から投げかけられたのですが、今やSNSやAIで簡単に調べられるので、そういった質問がそもそも減ったと思います。
代わりに増えたのが、オンラインで知った情報について「これは本当ですか?」と聞く“確認”の質問でした。例えば、日本の古いドラマで不良少年のふるまいを見た生徒から「日本では本当にこういうことをするんですか?」と聞かれ、「今はもう違うよ!」と答えたことも。
私が教えていない情報を自力でどんどん調べていたので、本物の日本人が現地にいる意義は、その真偽を教えることに変わりつつあるのかもしれないと感じました。
Text=飯渕一樹(本誌) 写真提供=ご協力いただいた各位
日本語の文字がなぜ3種類あるのかと聞かれた時は、新聞を見せていました。紙のものでもオンラインのものでもいいですが、それで実際に見せて「これが“日本”」「“ウズベキスタン”は片仮名で書くよ」などと説明しました。
平仮名と漢字の使い方については違いをうまく説明できなかったのですが、「小さい頃は平仮名しか使わないけれど、大人になったらこういう格好いい字も書くんだぜ!」「これからもっと勉強して漢字も覚えられるといいね」というふうに話していました。