今月のお悩み自分が取り組んできた活動が
離任後も続いていくかどうか気にかかっています
(アフリカ/青少年活動)

   青少年の健全育成を目的とした公共施設で活動していて、施設に関わるスタッフやボランティアに向けて子ども向けアクティビティの実践方法を伝えたり、指導マニュアルを制作したりしています。若い人たちを中心に興味を持って関わってくれていると感じていますが、主として私が旗振り役となって活動を進めてきたので、帰国した後も本当に取り組みが残るかどうか、心配しています。

若尾先生からのアドバイス活動に継続性をもたらすのは“ビジョン”の共有
関係者に伝える時には、内容を突き詰めて具体化しましょう

   どういった活動でも、継続していくために大切なのはビジョンをしっかり伝えて共感と理解を得ることです。すなわち、活動を通じてどんな社会をつくりたいのか?どんな生活を実現したいのか?といった像を描き、わかりやすく言語化して共有するのです。すると関係する人々がバラバラに動かず同じ目標に向かい、隊員がいなくなっても活動が安定的に続いていくはずです。

   私が西東京市で取り組んでいる「みんなの畑(※)」の活動を例に取ると、「ここは畑だから、皆で野菜を育てよう」という程度では、ビジョンの言語化として十分ではありません。なぜなら、ある人は「野菜を育てて食べたい」、別の人は「農作業をしながら人としゃべりたい」などと、思いが必ずしも一致しないためです。そこで「地域で互いの顔が見える環境を築くことで、いざという時に声をかけ合える関係をつくり、精神的・身体的・社会的に健全な状態を目指す」と皆の“行動”が向かうべき方向を具体的に指し示すビジョンがあると、各自がそれぞれの思いを持って活動に参加していても、一致した目標に向かって動く暗黙のルールができるわけです。

   具体性のあるビジョンを突き詰めるには、具体化と抽象化を交互に繰り返して考えることが有効で、例えば私の隊員時代の活動でいえば、
「野菜を作る」▶「何のために野菜を作るのか?」▶「有機栽培を教えるため」▶「どのように有機栽培を行うのか?」▶「落ち葉や家畜のふんで良い堆肥を作る」▶「その活動でどのような結果が得られるのか?」▶「皆が有機栽培を学べる」▶「皆が学ぶとどうなるのか?」▶「化学肥料による環境負荷が減って持続可能な土地になる/化学肥料を買う費用が抑えられ生活が楽になる」
…という具合に考えを深めていくことができます。関わる人々にとって何のメリットがあるのかも含め、明確な段階までビジョンを整理して伝えられるとよいかと思います。


※みんなの畑…若尾さんが運営に携わっている農園で、地域の誰もが来られるサードプレイスとしてあらゆる背景の人を参加者として受け入れることをコンセプトとしている。

若尾さんの取り組みについてはクロスロード2023年度OV向け別冊をご覧ください

今月の先生
若尾健太郎さん
若尾健太郎さん

グアテマラ/村落開発普及員/2004年度3次隊・東京都出身

大学卒業後、IT企業を経て協力隊に参加。グアテマラの農山村で活動し、当時発生したハリケーン被害に際しては復興支援のため植林プロジェクトを主導した。帰国後の2008年から群馬県のNPO法人自然塾寺子屋に3年間勤務し、国際協力や農業の分野で経験を積む。また、高崎経済大学大学院の修士課程で地域政策を学び、12年に地元の東京都西東京市で株式会社ユニココを起業。地域づくりの支援やコーディネートなどに取り組む。


Text&Photo=飯渕一樹(本誌)