

モロッコ/障害児・者支援/2023年度1次隊・東京都出身
私が隊員時代に挑戦したことの1つは登山です。以前から山好きで、日本の3,000m級の山には数多く登ってきましたが、海外の山は未経験。タンザニアのキリマンジャロに登るのが大きな目標で、モロッコへの赴任から約1年後の2024年8月に行くことを決めました。
ただ、キリマンジャロは標高5,800mを超えるアフリカ最高峰。高地に体を慣らすべく、5月と7月にモロッコ国内の山岳部に行きました。ここはアトラス山脈(※)の一部で、5月は比較的低いエリアを散策し、7月にはモロッコ最高峰で標高4,167mのトゥブカルにトライしました。
これらの2回とも同行してもらった山岳ガイドと料理人は、モロッコで多数派のアラブ人ではなくベルベル人。トゥブカルに登る道中では、同行した隊員たちと共にベルベル語の単語を教えてもらうなど楽しい時間を過ごしたのですが、標高3,000mを超える辺りから高山病の症状が出てきました。疲労から来る眠気もあり、ガイドと外国語で会話する気力もなくなっていきます。
そこで私が繰り返し唱えたのが“ネンネ”という単語。実はベルベル語でもネンネは幼児語で“寝る”の意味で、へばっているところにガイドから「眠いの?ネンネ?」と言われて覚えたのです。とにかく自分は疲れて眠いのだと訴えようと「ネンネー、ネンネー」と連呼しつつ歩みを進め、最後は自分の足で頂上に立つことができました。
後日、目標だったキリマンジャロにも同期隊員と行き、見事に登頂。実は、私はずっと単独や家族との登山しか経験がなく、他の人と一緒に山に登るのはトゥブカルが初めて。つらかったけれど仲間に支えられ、皆がいたから登頂できた!というのは、新しい登山経験でもありました。
※アトラス山脈…モロッコ、アルジェリア、チュニジアにまたがって北アフリカ地域を横断する山脈。トゥブカルはアトラス山脈の最高峰でもある。

Illustration=牧野良幸 Text=飯渕一樹(本誌)