ケニア/青少年活動/2023年度2次隊・長野県出身

配属先は、さまざまな事情から家庭に居られなくなった6~20歳の男子約60人が暮らすティカ一時保護施設で、余暇活動充実のためのプログラムを提案。習字や絵画、音楽指導のほか、皆が大好きなサッカーでは他施設への遠征も行うなど、さまざまな活動を行いました。


インターンの育成とアフリカでの事業立ち上げ支援を担当しています。現地でのコインランドリー開業に向け、物件探しをはじめ、日本からの機械輸出の調整、店舗のオープン準備まで多くの業務に取り組んでいます。


ケニアの青少年保護施設で2年間活動した松井秀人さんが現地で目にしたのは、若者の雇用不足や貧困という深刻な現実だった。20歳で施設を出ても仕事がなく、ドラッグや犯罪に走ってしまう若者の姿も目の当たりにした。
2025年10月の帰国後、進路を模索していた松井さんは、高校時代の友人から教えられた地元企業の求人情報で、株式会社ライフブリーズを知った。同社はJICAが実施主体となっているABEイニシアティブ(※)を通じて来日したアフリカの若者をインターンとして受け入れ、彼らが帰国後に、同社がフランチャイズ展開しているコインランドリー事業の現地経営者に就任する仕組みを作っている。
このビジネスモデルは雇用創出をはじめ、洗濯に多くの時間を費やしている女性の負担軽減など、アフリカの社会課題に直接アプローチするビジネスモデルを目指していて、松井さんがケニアで感じた若者の課題と重なっていた。
「私の面接を担当してくれた方には、協力隊を志してコロナ禍で断念した経歴がありました。価値観も近いことが分かり、『同じ方向を向いて働ける』と面接で確信しました」
協力隊参加以前の仕事は教職でビジネス経験がなかった松井さんだが、「新しい世界に飛び込める!とワクワクした」と振り返る。入社から数カ月ですでにリベリアへ出張するなど、やりがいのある毎日を過ごしている。現地では、同行した日本人スタッフによる技術指導などを行うが、その橋渡しをするのも松井さんの役割だ。そこでは、協力隊で培ったコミュニケーション力が大いに役立っているという。
※ABEイニシアティブ(African Business Education Initiative for Youth)…アフリカの若者を産業人材として育成するため、日本の大学での修士号取得と日本企業などでのインターンシップの機会を提供する産学官の共同プログラム。
ボツワナ/デザイン/2014年度1次隊、
短期/パラオ/デザイン/2017年度9次隊・東京都出身
日本とは違う形で、深い興味を持ってデザインに取り組める環境で働くことを、協力隊参加をきっかけにかなえることができました。また、協力隊で得られた業種も経歴もさまざまな隊員たちとのつながりは、帰国後もずっと続いています。そうしたご縁が新たな仕事に結び付くことも少なくありません。

長期派遣隊員としてボツワナの国立博物館で活動した後、短期派遣でパラオの国際サンゴ礁センターに派遣されました。いずれの任地でも、グラフィックデザインのスキルを生かし、展示パネルの制作や案内用パンフレットのデザインなどを担当しました。



展示物の情報やウェブサイトの更新、パンフレットの作成、土産物の開発など、広報・デザイン業務全般を担当しています。最近は電子工作を取り入れた展示なども、勉強しつつ制作しています。また、日本人観光客が訪れた時には、通訳やガイドを担当するなど、幅広い業務に取り組んでいます。


広告制作会社に勤務後、デザイン技術を生かして協力隊に参加した伊藤洋美さん。ボツワナの国立博物館での活動を経て、短期派遣で配属されたのがパラオの国際サンゴ礁センターだった。そこで、高い技術力と、相手の目線に合わせられる柔軟な人柄を評価したセンター長から「このままここで働かないか?」と声を掛けられ、任期を終えて一旦帰国し、2018年11月にパラオに戻って入職した。
以来、センター唯一のデザイナーとして、各掲示物や広報のデザイン業務を一手に担当。パラオ政府に提出するサンゴ再生ガイドラインを冊子にまとめる業務では、挿絵の作成まで自身で手掛けた。
伊藤さんはこうした仕事を、専門用語や最新の研究成果を分かりやすく伝える「サイエンスコミュニケーション」と捉えている。研究者との距離が近く、直接意見を交わせる制作環境は、分業化された日本ではあまり多くない。“物を売る”ためのデザインから、“知識を伝える”ためのデザインへ、仕事との向き合い方も変わってきた。
看板など屋外の展示物はパラオの強い直射日光で劣化が早く、定期的なリニューアルが必要なため、採用から8年たった今も仕事は尽きない。そんな毎日を伊藤さんは「充実感は100点満点」と断言する。
「パラオでは、優秀な人材の国外流出が深刻な社会問題となっていて、将来的にはパラオ人のデザイナーを育成したいと思っています。自分にしかできない仕事を積み重ねながら、これからもパラオで活動を続けていきます」
Text=油科真弓 写真提供=松井秀人さん、伊藤洋美さん
私の進路選択について
帰国直後、具体的に何をしたいのかは決まっていませんでしたが、教育を含めて「人のために活動することが、一番の心の満足につながる」という自分の価値観は分かっていました。進路選択でも、そうした思いに合う人と働けることを重視し、「やりたい!」という自分の直感を信じて決断しました。進路を考える時は、周囲の声に振り回されず、自分の気持ちに従って決めるのがよいと思います。たとえ失敗しても、自分の選択ならば後悔しないはずです。