在ニカラグア日本国大使×同国OVらの懇談が実現
大使から協力隊への期待の言葉も

JICA Volunteers’ Reports
終始和やかなムードの下、最新のニカラグアの状況や、日本に住むニカラグア人のことなどについて情報交換する一同

   今年5月、前橋市内で荻野正裕在ニカラグア特命全権大使と、かつて協力隊員として同国で活動したOVらの懇談会が行われた。荻野大使夫妻が休暇による一時帰国中に群馬県を訪れるタイミングで、地元のOVの協力により企画が実現。約10年前に活動したニカラグアOVと、現在のニカラグアを知る大使の間で和気あいあいとした会談が行われた。

   荻野大使が群馬県に足を運んだ背景には、県南西部に位置する甘楽町とニカラグアの友好の歴史がある。同町を拠点に海外研修員や協力隊候補者への研修などを手掛けるNPO法人自然塾寺子屋が同国に関係する多くの研修者を受け入れているほか、東京2020五輪・パラリンピックでは同町がニカラグア代表チームのホストタウンとなるなど、さまざまな局面で関わりを深めてきた。

   日本とニカラグアの懸け橋ともいえる甘楽町を荻野大使が訪れることに合わせ、県内外のニカラグアOVとの懇談企画が浮上。荻野大使は、「隊員の多くがニカラグアという国を大好きになって帰っていることも印象的で、この機にぜひお話をできればと思いました」と話す。

   懇談は前橋市議会議員と青年海外協力隊群馬県OB会会長を務めるOVの佐藤祥平さん(バングラデシュ/サッカー/2015年度2次隊ほか)の調整の下、実施の運びとなった。ニカラグアOVとしては、佐藤さんの妻の佐藤望美さん(助産師/2015年度2次隊)と、浜端 喬さん(青少年活動/2015年度2次隊)、井上泰輔さん(環境教育/2015年度1次隊)の3人が参加した。

   懇談の冒頭、荻野大使は「コロナ禍で途絶えた協力隊員の派遣がニカラグアでも再開され、今や人数は約20人弱まで戻っています」と現在の派遣状況を紹介し、「私は隊員の方々を両国の関係を紡いでいく上での重要な“パートナー”と考えており、全隊員の任地を訪問する方針で、これまでに20余りの地域を訪ねています」と協力隊への思いを語った。「フイガルパの町にも行きましたよ」という荻野大使の言葉に顔をほころばせたのは、同地で活動した佐藤望美さん。現地のレストランの話などに花が咲き、「懐かしいですね。また絶対に行きたいと思っています」と話した。

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甘楽町を訪れた際、甘楽中学校で講演をした荻野大使(写真提供=甘楽町)

   話題が参加したOVたちの隊員時代のことに移ると、「私たちが赴任した2015年頃はニカラグア隊員が40人近くいて、同期は11人いました」という浜端さんの言葉に、24年から在任している荻野大使が「当時はそんなに大勢いたんですか!」と驚く一幕も。今回参加したOVたちの離任後、ニカラグアは18年に大きな政治的混乱を経験し、現在も政情不安が続く。井上さんは「協力隊の任期終了から10年近くニカラグアへ行けていないので、任地が今どうなっているのかは気になります」と振り返り、浜端さんは「私の配属先はもう解体されてしまいました」と残念な様子をにじませた。

   とはいえ、親切で穏やかな国民性のニカラグアは、やはり住みやすい国だという意見で一致する一同。荻野大使が「私は中米圏ではニカラグアが初めての赴任国なんですが、駐在を経験した外務省職員でこの国が好きだという人は多いですし、実際に住んでみると確かに居心地がいいですね」とニカラグア愛を語り、現地生活や共通する関係者の話題などで場は盛り上がった。

   懇談を終えた荻野大使は、「OVの関与でニカラグア野球連盟の駐日代表が設けられるなど、さまざまな場面でOVが両国の交流を支えてくれていることを感じています。その存在は本当にありがたく思います」と、帰国隊員の活躍にも感謝と期待を述べた。


Text&Photo=飯渕一樹(本誌)