今井英里さん
お話しいただいたのは
今井英里さん

ホンジュラス/小学校教育/2013年度1次隊・愛媛県出身

大学卒業後に協力隊に参加。ホンジュラスのラパス県にある小学校で、主に教員の算数指導力を高める活動に取り組む。2015年の帰国後、JICA愛媛デスク(国際協力推進員)の仕事をしながら焙煎を学び、19年にカトラッチャ珈琲焙煎所を開店。

OB・OGショップファイル
カトラッチャ珈琲焙煎所を訪れた生産者たち

ホンジュラスから“顔の見えるコーヒー”を輸入し、
生産者と消費者の懸け橋に

   今井英里さんはホンジュラスでの隊員時代、1軒のカフェで「こんなにおいしいコーヒーは初めて!」という運命的な出会いをした。オーナーのナンシー・エルナンデスさんは、国内で初めてスペシャルティコーヒー(※)の店を立ち上げた女性で、現地でも際立つ存在だった。帰国後、引き続きホンジュラスのためにできることを模索していた今井さんは、ナンシーさんをビジネスパートナーとしてコーヒー豆の輸入を開始。2019年8月にカトラッチャ珈琲焙煎所をオープンした。

   店の最大の特徴は、生産者の顔が見える「ダイレクトトレード」だ。ナンシーさんが信頼する小規模生産者の中から日本人の好みに合った豆をセレクトし、生産者の名前や写真を明記して販売。生産者ごとに豆の個性は異なる。今井さんがコロナ禍で現地へ買い付けに行けなかった間もナンシーさんが品質管理を担い、豆のクオリティは年ごとに向上した。23年に店舗が移転した時には、ナンシーさんを含む3人の生産者が来日し、カウンターで自らが育てた豆を淹れて提供したこともある。自分の名前が付いたコーヒーを消費者へと直接手渡す体験に、涙する生産者もいた。

   店頭で提供するコーヒーは1杯600円ほどだが、豆は200g 2,500円と決して安くはない。それでも「ホンジュラスを応援したい」という顧客の共感が店を支えている。近年は現地のチョコレート職人と連携し、ホンジュラス産カカオを使ったチョコレートも、生産者の顔が見える形で届けている。

※スペシャルティコーヒー…単一の農園や産地で豆が採取され、サプライチェーンの中で管理や抽出などの過程が適切に行われる最高品質のコーヒーのこと。

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ホンジュラスでは従来、先進国の企業に安く大量に卸すことがコーヒー生産の中心だったが、ナンシーさんのような起業家が少しずつ高級路線の開拓を行っている
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今井さんが2018年にホンジュラスのコーヒー農園を訪れた時の様子
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生産者として現地で協力してくれているナンシーさん(左)とアルトゥーロ・バウティスタさん(右)

Text=油科真弓 写真提供=今井英里さん