(ネパール/小学校教育/2015年度3次隊・大阪府出身)
今夏、外国につながりのある子どもたちの教育の在り方について考える「多文化共生セミナー2026~教室から始まる共生の学び~」を開催しました。「日本語と子どもの学び」をテーマとして、オンラインで7月23日から全3回の連続セミナーを実施したところ、教員や教職課程に在籍する学生など約40人が受講し、専門家の講義を聞いた上で、グループディスカッションで日頃感じている悩みや疑問を共有し合うことができました。
セミナーは、私が勤務するパシフィックパデコインターナショナル株式会社が、国際協力に関わる人材育成をするために開講している「パデコアカデミー」の一環として実施したものです。各回のサブテーマを「海外から見た日本の学校」「日本語指導が必要な子どもを理解するための基礎知識」「教科の学びと日本語との関係」として、鳴門教育大学にご協力いただき、先生方にも登壇していただきました。
私が中心となってセミナーを企画したのは、私自身の経験と大きく関わっています。私は小学校教員としての勤務を経て、協力隊員としてネパールの小学校教育に携わりました。帰国して教員に復帰すると、外国につながりのある生徒がすごく増えていて、勤務先では日本語指導を担当する以外にも、要請があれば、夜間中学などで日本語指導やネパール語の通訳、進路指導にも当たっていました。
ネパールでのプロジェクトへの従事をきっかけに移ったのが今の会社ですが、職場には帰国子女であったり外国にルーツがあったりする社員も大勢います。「日本と外国のカリキュラムの違いにびっくりした、困った」といった話を聞く機会があり、「教育に関する情報を関係者に提供することができないか」と考えるように。そこで昨年10月から今年1月にかけて、全6回・各回60分のオンライン講座「多文化共生を考える連続セミナー~教室から始まる共生の学び~」を実施したのが、この取り組みの最初の一歩でした。この時は日本語教育に限らず、「多文化共生の概論」「各国の算数教育」「各国の理科教育」「日本国内における外国ルーツ児童生徒の現状と支援策」など幅広い内容を含みました。
驚いたのは、参加者の「もっと話したい」という思いです。外国につながりのある子どもたちを担当する先生は学校内に1人か2人しかいないことが普通なので、悩みを打ち明ける機会が欲しかったのかもしれません。事後アンケートでもグループディスカッションは高い評価でした。
昨年度の経験を踏まえて、2026年度は各回90分として話せる時間を長く取り、さらに終了後に30分の自由交流タイムを設けました。夏には日本語をテーマにして実施しましたが、9~10月は「算数・理科教育」、12月には「学校文化と多様性」をテーマに全3回構成で実施する予定です。
外国につながりのある子どもの教育に関して、「何に困っていますか」と先生に聞くと、「言語」という回答が多いですが、実は、当の子どもたちはカリキュラムなどの違いに戸惑っていることも多々あります。そんな異文化理解と情報共有の場として今後もセミナーを継続し、より多くの人々に広く参加してもらいたいと思っています。
Text=三澤一孔 写真提供=山下さくらさん