末松洋介さん

マーシャル/小学校教諭/2011年度1次隊・愛知県出身

マーシャルの環礁を隊員仲間と歩き旅
娯楽は少ないけれど優しさにあふれていた

「端から端まで歩いてみない?」

   娯楽施設もショッピングモールもなく、インターネットさえつながっていなかったマーシャルでの暮らしの中で、隊員仲間とのそんな何げない一言から、「マジュロ環礁踏破ウォーキング」は始まりました。

   任地はマジュロ環礁という楕円形に小島が連なっている地域で、その島々を一本道が大きくU字を描くように貫いています。住まいがあったローラ村は環礁の西端、目指すは反対側の端にあるリタ地域。約50㎞を自分たちの足で歩いてみるというちょっとした冒険です。

   まず立ちはだかるのが、強烈な日差し。日陰から一歩外へ出れば「日焼け」を通り越して「やけど」するレベルです。水分を補給し、海風が吹き抜ける日陰で休憩を挟みながら進みます。

   歩き旅ならではの出会いもありました。立派な屋敷の前で小休憩していたところ、おじさんが出てきたのですが、なんと当時の大統領ジューレーラン・ゼドケイア氏。フレンドリーに写真を一緒に撮ってくださり、本当に人と人の距離が近い国だと実感しました。

   半日かけて中間地点のドミトリー(隊員連絡所)に到着して1泊し、翌日ついにゴールのリタ地域へ。島の幅が広いローラとは違い、狭いリタは道の両側に家々がギュッと密集していて、とても新鮮な光景でした。皆クタクタで特別なセレモニーもなし。でも、冷えたビールで乾杯した時のおいしさは忘れられません。

   車ならあっという間の一本道も、「どこに行くの?乗っていきなよ」と気さくに声を掛けてくれるトラックの人、「大変そうね、うちでココナッツ飲んでいきなさい」と誘ってくれる家々のお母さんたち。歩いてみるとたくさんの笑顔と発見に満ちていました。


あの日の、地球の、あの場所で。

Illustration=牧野良幸 Text=阿部純一(本誌)