都会嫌いな東京っ子、牛と出会う。
子どもの頃は学校が休みになるたび、母方の田舎の秋田で野山を駆け回っていました。牛の良さに目覚めたのは、中学生のとき。親戚の酪農家のところで見た牛がすごく可愛くて、好きになりました。高校進学を考えたとき、生まれ育った都会が嫌いだから東京を出たいと思ったんです。それには全寮制の高校に行くしかなく、なおかつ牛の勉強もしたかったので、全寮制の普通科で牛を飼える学校を探して山形の高校に。「畜産部」の部活で牛を飼い、将来は北海道で酪農家になりたいと思うようになりました。なぜ北海道かって?やっぱり憧れがあるじゃない、広い大地と青い空と白樺って。酪農家になるのに大学の勉強は必要ないと思ったけれど、親に頼まれて大学に進学。北海道で酪農の実学を学べる酪農学園大学の研究室で牛と羊を飼い、近所の酪農家で朝晩搾乳のバイトをしました。毎朝5時に起き、一通り乳搾りが終わってから大学に行く毎日。研究とバイト以外は、山形で鍛えたスキーぐらい。雪の匂いを嗅ぐとわくわくして、とにかく山に行こうよって、車にスキー板を乗せて出かけたものでした。