日本大学
生物資源科学部

大学連携

一時的ではなく、
継続的な開発支援を
連携制度を通じて、
より実践的な活動を実現

※文章内の制度名、派遣名称は派遣当時のものです。​

倉内 伸幸 氏

国際地域開発学科 熱帯資源作物研究室

倉内 伸幸

継続した支援のために、
大学連携派遣制度を活用

日本大学生物資源科学部・国際地域開発学科は、開発途上国の地域開発手法を専門とする学科です。在籍する学生は「海外で何かしたい」「人の役に立ちたい」という想いが強く、卒業後はJICAの技術協力専門家や、開発コンサルタントとして現地プロジェクトを行うなど、農業分野の国際支援で多くの卒業生が活躍しています。
私自身は、大学連携派遣制度が開始される以前の2006年から、ウガンダで活動を続けてきました。2008年には、アフリカでの米の自給率向上を目指す政府公約を受けて、JICAの技術協力がスタート。同時期に、我々の研究室もJICAプロジェクトとの連携を図ってきました。
当時から、大学卒業後に青年海外協力隊に応募し、同プロジェクトに携わる卒業生は多くおりましたが、通常の協力隊の選考プロセスでは、必ずしも希望地域に派遣されるわけではありません。そのため、学生にとっても不安要素が多く、プロジェクトにおいて専門人材の確保が課題となっていました。そこで、「即戦力となる人を、確実かつ継続的に派遣しよう」と、2015年からの5年間、ウガンダの稲作に関するJICAとの連携協定を締結しました。

事前に準備ができるので、渡航直後から即戦力になる

通常の青年海外協力隊ですと、現地の要請に基づいて派遣されるものの、到着すると状況が変わっていることもあるのですが、大学連携派遣制度では、計画段階から現地で実施されているJICAのプロジェクトメンバーと連携できるため、任期中の業務や派遣先の設備、現地での協力体制に至るまでを細かく把握でき、技術や知識面での事前準備が可能です。それゆえ、現地では学生が即戦力として実務経験を積むことができます。また、派遣期間中は、学生本人に対して活動へのアドバイスができ、プロジェクトの途中でも軌道修正ができるので、学生にとっても現地にとっても効果の高い活動が実現できています。派遣期間中は、学生本人やJICAから定期的に報告がありますし、現地のJICA事務所には学科のOBもおりますので、密に連絡を取り合いながら進めることができています。また、学科の研修旅行でウガンダ視察を企画しており、今現地にいるOBの活動も見学する予定です。

斉藤 雄介 氏

斉藤 雄介

派遣国
ウガンダ
派遣職種
食用作物・稲作栽培

現地を目で見て活動できたことが、研究者としての基盤となった

大学を卒業した後、青年海外協力隊として、セネガルで野菜栽培の指導を経験しました。しかし、自身の技術や知識不足を痛感し、大学院で学び直すことを決意。大学院卒業と同時に、今度は「JICA海外協力隊(大学連携)」制度の青年海外協力隊としてウガンダに渡りました。
人より長く大学にいた分、最初に連携制度の話を聞いたときは、自分の年齢が気になり、行くべきか悩みました。しかし、過去の先輩たちを見て「自分が社会に貢献するのは、専門家としての基礎ができてからでも遅くはない」と考え、現地で学べる機会を生かそうと飛び込みました。
現地では、環境条件や気象条件に合わせて米の生産や栽培試験を行い、生産した種もみを農家に配るため、各村で栽培についての講義やディスカッションを行いました。過去に隊員として活動した経験から、コミュニケーションには自信がありましたが、実際に行ってみると、現地の人の心を開くのは容易ではありません。まずは現地語を覚え、とにかく会話をすることで、信頼を獲得していきました。作業を手伝い、一緒に食事をする時間を通じて現地の人と打ち解け、生の情報に触れられたことは、研究者としてのキャリアを形成する上で、大きな収穫となりました。帰国後の2018年には熱帯農業学会で学会発表を行い、学生発表優秀賞を受賞。現地を知っているからこそ、質疑応答でも現地での様子が頭に浮かび、実体験に基づいた返答ができたと実感しています。

活動を次の世代に継承し、自らも前に進んでいきたい

大学連携派遣では、後任者も同じ研究室にいるため、自分がやり残した課題を次の人に引き継げる安心感があります。私自身も「学内に自分の後継者がいるのだ」と意識し、帰国後は後輩たちに積極的に現地の様子を伝えてきました。協力が途切れないことは、現地にとっても研究者にとっても、大きなメリットだと思います。
これまでたくさん不安はありましたが、その度に選択肢を与えてくださり、「何をしたいのか」を一緒に整理してくださった先生のおかげで、ここまでやってこられました。卒業後は、現地での経験と研究の成果が評価され、開発コンサルティングの会社に就職が決まりました。自分が唯一、世の中の力になれる分野だと思っていますので、今後は、ウガンダでの経験を生かして、農業・農村開発の最前線で仕事に取り組んでいきたいと思っています。