佐藤 高央さん
青年海外協力隊
Takao Sato
株式会社農園たや スタッフ
- 【職場】
- 福井県
- 【職業】
- 農業/野菜ソムリエ
- 赴任国
-
ボリビア多民族国
- 【赴任地】
- オルロ県クラワラデカランガス市
- 【職種】
- 野菜栽培
- 【派遣期間】
- 2010年1月~ 2012年1月
農業を通じてリーダーとなる人を育てる
協力隊で得た経験を実習生の指導に活かして
困っている人の力になりたい。その思いで協力隊を志し、農業の道へ進んだ。
ボリビアで野菜栽培を指導しながら、住民たちに本当に役に立つ支援は何だろう、と考えた。
今は福井県の野菜農園で、技能実習生と共に働き、彼らの将来を視野に入れた指導を心がけている。
世界で働くことを志し
協力隊参加のために農業を
佐藤さんが世界で働くことを意識したのは中学生の時、テレビで一休上人の修行中のエピソードを見たことがきっかけだった。
「一休上人は琵琶湖で座禅して、自分の苦しみはあまりにも小さいと悟り、もっと苦しんでいる人々を助けるために身を捧げよう、と決意するんです。ちょうど高校進学を前にして将来何をしたいか悩んでいる時期だったので、ちっぽけな自分だけど世界中で困っている人のために働きたい、と思いました」
大学では国際文化学科に進み、パキスタンでの現地研修も受けた。協力隊の募集説明会に出席したところ、参加するには専門的な知識や経験、技術が必要だと知った。
「それなら世界の食料を支える農業を勉強しよう、と在学中にインターンシップ制度を利用して、長野県の農家など6カ所で農業を体験しました。卒業後は日本実践学園で農業を1年間勉強し、23歳の時、協力隊に応募したんです」
2010年1月、佐藤さんは野菜栽培隊員としてボリビアに赴任した。
ハウス栽培に堆肥づくり
野菜栽培に奔走
ボリビアのアンデス地方は、4,000mの高地にアルティプラーノと呼ばれる平原が広がっている。佐藤さんが配属されたオルロ県クラワラデカランガス市もその中にある。住民の大半が先住民で、現金収入はリャマやアルパカなどラクダ科の家畜から得るものに限られている。
現金収入を増やすため野菜栽培を指導することが佐藤さんの任務だが、寒冷な気候で雨が少なく、土地は痩せている。野菜栽培には肥料が欠かせないが、化学肥料は高価で農民には買えない。堆肥づくりに挑戦し、試行錯誤の末に、リャマの糞や生ゴミなどを材料にミミズを使った堆肥づくりに成功した。
モデルとして設置したハウスで収穫した野菜は、住民に喜ばれた。だが一方で、学校での野菜栽培の指導は中断することになってしまったし、遠方の農民に対する巡回指導は、移動手段が見つからず断念せざるを得なかった。
「現地の農業を一時的によくするような取り組みはできますが、しっかりした成果を出すためには、その地に一生残ってやらないとダメだと思いました。2年間の協力隊活動では、直接的な支援をするより、現地でリーダーとなる人を育てることが大切なんですね」
現金収入を増やすため野菜栽培を指導することが佐藤さんの任務だが、寒冷な気候で雨が少なく、土地は痩せている。野菜栽培には肥料が欠かせないが、化学肥料は高価で農民には買えない。堆肥づくりに挑戦し、試行錯誤の末に、リャマの糞や生ゴミなどを材料にミミズを使った堆肥づくりに成功した。
モデルとして設置したハウスで収穫した野菜は、住民に喜ばれた。だが一方で、学校での野菜栽培の指導は中断することになってしまったし、遠方の農民に対する巡回指導は、移動手段が見つからず断念せざるを得なかった。
「現地の農業を一時的によくするような取り組みはできますが、しっかりした成果を出すためには、その地に一生残ってやらないとダメだと思いました。2年間の協力隊活動では、直接的な支援をするより、現地でリーダーとなる人を育てることが大切なんですね」
インドネシア実習生を支援
野菜ソムリエとしても活動
農業を通じて人を育てることが出来たら―。そんな思いを持って帰国した際、福井市でインドネシアからの技能実習生を受け入れて野菜を栽培している株式会社農園たやが、従業員を募集していることを知った。さっそく応募し、2012年4月から働き始めて今では葉物野菜を担当、水菜やシラナなど5品目を栽培している。
「実習生と作業を共にしながら、彼らが帰国後も実践できるように日本式の栽培技術だけではなく年間の作付や出荷計画など、営農プランも指導しています。また、社長が立ち上げた勉強会『耕志の会』でも講師として、週1回授業を担当しているんですよ」2015年にはインドネシアを訪問し、かつての実習生が働いている農園を見学した。「一緒に勉強したことが実地に活かされているのを見て、とても感動しましたね」
また、佐藤さんは実習生の食事改善をきっかけに、野菜ソムリエの資格を取得した。協力隊でボリビアにいた当時を思い返しても、栄養バランスが悪く体重増や高コレステロールで悩む現地の人が数多くいた。食すこととは健康の基本であり、すなわち人の生き方の基本。単に野菜をつくるだけではなく、食材の特性や効果的な調理方法を伝えていくことで、更に社会に役立てると考えたからだ。現在はソムリエ仲間とユニット「ベジラボ。」を結成、市民向けに創作料理のワークショップを開催するなど、野菜の魅力を広める活動も行っている。
「協力隊活動を通じて、自分のしたいことを一方的に推し進めても相手のためにはならない、ということを学びました。その土地の農業の発展を支えるために、住民を手助けする。協力隊で得たものの延長線上で、これからも取り組んでいきたいですね」
ボリビアでの協力隊活動は、さまざまな困難に直面し、なかなか成果を上げられないことも多かった。それを一つ一つ乗り越えてきたことが、今後も農業を続けるうえで大きな糧となっている。
「実習生と作業を共にしながら、彼らが帰国後も実践できるように日本式の栽培技術だけではなく年間の作付や出荷計画など、営農プランも指導しています。また、社長が立ち上げた勉強会『耕志の会』でも講師として、週1回授業を担当しているんですよ」2015年にはインドネシアを訪問し、かつての実習生が働いている農園を見学した。「一緒に勉強したことが実地に活かされているのを見て、とても感動しましたね」
また、佐藤さんは実習生の食事改善をきっかけに、野菜ソムリエの資格を取得した。協力隊でボリビアにいた当時を思い返しても、栄養バランスが悪く体重増や高コレステロールで悩む現地の人が数多くいた。食すこととは健康の基本であり、すなわち人の生き方の基本。単に野菜をつくるだけではなく、食材の特性や効果的な調理方法を伝えていくことで、更に社会に役立てると考えたからだ。現在はソムリエ仲間とユニット「ベジラボ。」を結成、市民向けに創作料理のワークショップを開催するなど、野菜の魅力を広める活動も行っている。
「協力隊活動を通じて、自分のしたいことを一方的に推し進めても相手のためにはならない、ということを学びました。その土地の農業の発展を支えるために、住民を手助けする。協力隊で得たものの延長線上で、これからも取り組んでいきたいですね」
ボリビアでの協力隊活動は、さまざまな困難に直面し、なかなか成果を上げられないことも多かった。それを一つ一つ乗り越えてきたことが、今後も農業を続けるうえで大きな糧となっている。
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収穫した野菜の仕分け作業中も話すことといえば「野菜について」。スタッフ一同、寝ても覚めても野菜が好きでたまらないのだ。
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天候不良が続く昨今、暑さや水の量などに気を配るなど、葉物野菜の栽培は苦労の連続だ。しかし、その難しさが醍醐味でもある。
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野菜を知り、魅せ、作ることにより野菜の力を広める。仲間と立ち上げたユニット「ベジラボ。」は多彩な活動を展開している。
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佐藤 高央さん
Profile - 東京都出身。大学で国際文化を専攻しながら、インターンシップ制度を利用して全国6カ所で農業体験。卒業後、日本実践学園で1年間農業を勉強する。2010年1月から青年海外協力隊としてボリビアへ。2012年に帰国後、福井市の株式会社農園たやに勤務。また、野菜ソムリエの資格を取得、ソムリエ仲間と「ベジラボ。」を組織して活動中。
- 技能実習生の理解者でよき相談役
- インドネシアからの技能実習生が日本での生活で困ったことがあった時、相談にのれるような国際理解のある人を探していたところ、JICAから佐藤君を紹介されました。現在では葉物野菜を担当しながら、インドネシア実習生5人の相談役にもなっていて、大変助かっています。これからは、当農園の中核スタッフとして活躍してくれると、大いに期待しています。
- (株)農園たや
代表取締役 - 田谷 徹さん