庄田 清人さん
青年海外協力隊
Kiyohito Shota
一般財団法人ちくご川コミュニティ財団 副理事長
- 【職場】
- 福岡県久留米市
- 【職業】
- 一般財団法人ちくご川コミュニティ財団
副理事長
- 赴任国
-
マラウイ共和国
- 【赴任地】
- ムジンバ県エディンゲニ
- 【職種】
- コミュニティ開発
- 【派遣期間】
- 2014年9月~2016年9月
筑後川のほとりで世界と地域を繋ぐ
地域に関わる個人や団体が自らの手で活動を支える「コミュニティ財団」
庄田清人さんは生まれ育った地域で財団のあるべき姿を追い続けている
九州最大の河川・筑後川流域で、社会課題に挑む市民団体を支援する「公益財団法人ちくご川コミュニティ財団」。副理事長として財団を牽引するのが、JICA 海外協力隊(JOCV)としてマラウイに派遣された庄田さんだ。そこには、途上国のコミュニティ開発で培った知見が日本の地で新たな価値を生む、確かな「環流」の姿が映し出されていた。
庄田さんの現在地
「いずれいなくなる存在」として
伴走支援している団体との定例ミーティングの様子
休眠預金活用とは、10年以上取引のない休眠状態の預金を、NPO等が実施する社会課題解決の取り組みに活用する制度だ。資金分配団体の役割は、預金を使って活動する団体の公募と助成を行うことだが、庄田さんは、単に団体を選んでお金を渡すのではなく、団体が安心して挑戦できる土台を担う「伴走支援」の役目を強調する。「公的資金を扱うNPOには厳格な事業設計が求められますが、現場は日々の課題に向き合うことで手一杯なのが現状です」団体に足りない基盤を補い、解決への道筋を共に描く。文字通り、ランニングパートナーのように伴走するスタイルが、庄田さんの仕事の真髄だ。
この「伴走」の根底には、庄田さん自身のキャリアの原点である理学療法士の視点がある。「対象が患者さんといった個人から組織へ変わっても、相手の力を引き出し回復を支える本質は変わりません」医療現場で培った「観察し、分析し、共に歩む」技術が、今、地域を再生させるための確かな力となっている。
だからこそ、庄田さんは自分たちを「いずれいなくなる存在」と位置づける。伴走のゴールは、団体が自らの力で歩む「自走」に他ならない。「支援する側が頑張るほど、支援される側の主体性が奪われる」という、JOCV時代に身をもって学んだ教訓が、支援する側の伴走に徹する姿勢の原点となっている。
JOCV時代
無力感の先に見つけた「伴走」の原点
庄田さんがJOCVを志したのは中学生時代。「協力隊になるには?」という逆算の思考で進路を描き、自身の怪我をきっかけに知った理学療法士の道に辿り着く。就職先に選んだのは、地元において、国際協力の先駆的な存在である「聖マリア病院」。ここで庄田さんは、所属先に籍を残したまま参加できる「現職参加制度」を利用し、2014 年に念願のマラウイへと渡った。
理学療法士の資格を持つコミュニティ開発の隊員としてヘルスセンターに着任した庄田さん。しかし現地で待っていたのは、専門性だけでは太刀打ちできない複雑な社会課題の連鎖だった。「次々と打ちのめされ、自分にはもう無理だ」と激しい無力感に襲われる。追い打ちをかけたのが言葉の壁だった。相手のニーズを整理したくても、言葉の先にある「文脈」が読み解けない。コミュニケーションの限界を痛感する日々が続いた。
そこで庄田さんが頼ったのが「プロジェクト・サイクル・マネジメント(PCM)」だった。模造紙を広げ、ポストイットを手に住民と課題を可視化していく。論理的思考が得意な庄田さんは、このプロセスを住民と共に楽しんだ。「当時の設計図はツッコミどころ満載ですが(笑)、あの必死な経験がプロとしての土台です」目的を見失わない強固な意志と、現場に飛び込む柔軟性。その両輪が、現在の伴走支援の礎となった。
理学療法士の資格を持つコミュニティ開発の隊員としてヘルスセンターに着任した庄田さん。しかし現地で待っていたのは、専門性だけでは太刀打ちできない複雑な社会課題の連鎖だった。「次々と打ちのめされ、自分にはもう無理だ」と激しい無力感に襲われる。追い打ちをかけたのが言葉の壁だった。相手のニーズを整理したくても、言葉の先にある「文脈」が読み解けない。コミュニケーションの限界を痛感する日々が続いた。
そこで庄田さんが頼ったのが「プロジェクト・サイクル・マネジメント(PCM)」だった。模造紙を広げ、ポストイットを手に住民と課題を可視化していく。論理的思考が得意な庄田さんは、このプロセスを住民と共に楽しんだ。「当時の設計図はツッコミどころ満載ですが(笑)、あの必死な経験がプロとしての土台です」目的を見失わない強固な意志と、現場に飛び込む柔軟性。その両輪が、現在の伴走支援の礎となった。
未来へのビジョン
「人材の環流」を促す
子どもの状態について協議を重ねた配属先「エディンゲニヘルスセンター」の同僚と
「コミュニティ開発を真剣に学びたいなら、コミュニティ財団こそが最適なフィールドです」そう語る背景には、日本の地域課題と海外の開発支援は本質的に同じであるという確信がある。事実、同財団には複数のJOCV 経験者が在籍する。「彼らがここでスキルを磨き、いつか再び世界へ羽ばたくことを応援したい」この「人材の環流」こそが、日本と世界の双方を豊かにしていくと信じているのだ。
「どこへ行っても僕のやることは変わりません。相手の文脈を丁寧に読み取り、共に整理して、伴走する。それだけなんです」世界で通用する実力を持ちながら、あえて日本の地方都市に腰を据える理由。それはプロとしての矜持というよりも、目の前の誰かと歩み続けることへの、実直でひたむきな探究心の表れのように感じられた。
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いつも自宅に集まってくる子どもたち -
副理事長として財団の報告を行う -
災害時における地域住民のニーズ調査をしている様子
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庄田 清人さん
Profile - 福岡県出身。リハビリテーションの専門学校を卒業後、福岡県久留米市の聖マリア病院で理学療法士として勤務。2014年、JOCVに現職参加してマラウイで活動。帰国後、同病院への復職。その後、個人事業主を経て、2020 年にちくご川コミュニティ財団に入職。
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協力隊で培った人と接する力が活かされている
- 我が社では、不動産事業に取り組んできた私がハード面を担当し、庄田さんにはコミュニティづくりなどのソフト面を担当してもらっています。医療職出身で病院の中の世界しか知らないと、企業経営者を中心としたクライアントとの商談は難しい。庄田さんの場合、協力隊でいろんな人に会った経験が活かされていると思います。人前で話すことに長けている点も武器。どんどん、いろんな人と繋がってほしいですね。
- 株式会社倖乃舎 代表取締役
- 稲富 隆太さん
