平出 将孝さん
青年海外協力隊
Masataka Hiraide
郡山市文化スポーツ部国際政策課 主査
- 【職場】
- 福島県
- 【職業】
- 市役所職員
- 赴任国
-
東ティモール
- 【赴任地】
- ディリ市
- 【職種】
- 手工芸
- 【派遣期間】
- 2017年10月~2019年10月
協力隊経験を活かして
地域の国際協力の推進を担う
東日本大震災をきっかけに、ボランティア活動を身近に感じるようになった。
「2年間の異文化体験は将来必ず活きる」上司の一言に背中を押され、海を渡った。
現在、協力隊での経験は、市民のため、地域社会のために活かされている。
協力隊の活動は苦労の連続
やって見せて認められる存在に
現地では、派遣前に習ったインドネシア語ではなくテトゥン語が話されており、日常会話ができるまでに半年近くかかった。また、手工芸の指導を始めようにも、東ティモールでは講習会を開催する場合、主催者が食事を振る舞うのが習慣。上司からは「予算不足」と言われ、同僚からも相手にされず、苦難の連続だった。
そんな状況の中、「できることからやるしかない」と決意。最初に取り組んだのが、手工芸品の販売店をリスト化し、観光客向けの販売店マップを作ることだった。自転車で市内を回り、1ヵ月かけてリストを完成。それを同僚に見せると興味を示し、情報提供をしてくれたり、正しい現地語の表記を教えてくれるようになった。また、各家庭に自生している竹を材料にして、実家の竹材問屋で習得した細工で籠を作ったところ、更に注目が集まった。「これがきっかけで、竹細工講座の開催が実現しました。そして、伝統的な綿織物『タイス』を作るグループからも“教えて欲しい”と、声がかかるようになったんです」目に見えるものを作り、自身をアピールする。そんな取り組みが功を奏し、活動終盤には竹細工の創作展を開くことができるまでになった。
※所属先の身分を保持したまま、休職してJICA海外協力隊に参加すること。
外国人の立場で考えられる行政マンとして
「苦労の多かった2年間でしたが、ホストファミリーや職場の同僚は、外国人である私を温かく迎え入れ、困っている時にはいつも助けてくれました」
東ティモールでは、「技術を学びたい」「日本で働きたい」と、日本に憧れを持っている人が多かった。帰国後、郡山市役所に復職した平出さん。現在、市内には技能実習生や留学生ら約3千人の外国人が住んでいる。その中には、東ティモール人と同じように憧れを持って来日し、国内で技術を学び、帰国後は母国でその技術を活かして仕事をする人々が多い。「東ティモール人が私を温かく迎え入れてくれたように、私も彼らを歓迎し、『郡山はいいところだった』と感じてもらいたいですね。かつて外国人だった自身の経験をもとに多文化共生を進め、協力隊経験者ならではの橋渡し役になりたいです」
東ティモールでは、「技術を学びたい」「日本で働きたい」と、日本に憧れを持っている人が多かった。帰国後、郡山市役所に復職した平出さん。現在、市内には技能実習生や留学生ら約3千人の外国人が住んでいる。その中には、東ティモール人と同じように憧れを持って来日し、国内で技術を学び、帰国後は母国でその技術を活かして仕事をする人々が多い。「東ティモール人が私を温かく迎え入れてくれたように、私も彼らを歓迎し、『郡山はいいところだった』と感じてもらいたいですね。かつて外国人だった自身の経験をもとに多文化共生を進め、協力隊経験者ならではの橋渡し役になりたいです」
職場環境に感謝しチャレンジ精神を忘れず
郡山市の広域圏内には、JICA海外協力隊の派遣前訓練を実施する二本松訓練所があり、多くの協力隊員を世界に送り出している。また、市でもJICAの研修の一環を担うなど、国際協力に理解のある環境だ。
現在の文化スポーツ部国際政策課に異動した当初、平出さんを含め3人の協力隊経験者が一緒に働いていた。同じ経験を持つ仲間と力を合わせることで、2020年には内閣官房主催『橋本聖子オリパラ担当大臣(当時)と福島県知事、県内ホストタウン自治体の首長会議』や『世界のおもてなし料理プロジェクト』、『ホストタウンサミット』など、多くの事業に取り組むことができた。
オランダとハンガリーとの交流事業では、姉妹都市が絵付けされた地元の『海老根伝統手漉き和紙』による灯ろうを制作。東日本大震災10年の『復興の灯火プロジェクト』で展示・配信したところ、内閣官房が主催するホストタウンアワード『オンライン交流賞・特別賞』を受賞するに至った。「いずれも協力隊時代に培った“何でもやってみよう精神”で挑戦しました」
東ティモールに行く前、職場の上司と約束したことがある。それが、「協力隊経験を社会に還元する」こと。現在、ふくしま青年海外協力隊の会の事務局長を務め、東日本大震災10年目には会の取り組みを紹介し、震災時の御礼を全国に伝えた。東ティモールで大規模な洪水が発生した際には、協力隊時代の仲間が立ち上げたクラウドファンディングに参加し、継続してサポートできるよう、東ティモールOB会設立を検討中だ。
「市役所の業務だけでなく、協力隊の繋がりを活かし、新たな活動へのチャレンジを続けていきたいと思っています」
現在の文化スポーツ部国際政策課に異動した当初、平出さんを含め3人の協力隊経験者が一緒に働いていた。同じ経験を持つ仲間と力を合わせることで、2020年には内閣官房主催『橋本聖子オリパラ担当大臣(当時)と福島県知事、県内ホストタウン自治体の首長会議』や『世界のおもてなし料理プロジェクト』、『ホストタウンサミット』など、多くの事業に取り組むことができた。
オランダとハンガリーとの交流事業では、姉妹都市が絵付けされた地元の『海老根伝統手漉き和紙』による灯ろうを制作。東日本大震災10年の『復興の灯火プロジェクト』で展示・配信したところ、内閣官房が主催するホストタウンアワード『オンライン交流賞・特別賞』を受賞するに至った。「いずれも協力隊時代に培った“何でもやってみよう精神”で挑戦しました」
東ティモールに行く前、職場の上司と約束したことがある。それが、「協力隊経験を社会に還元する」こと。現在、ふくしま青年海外協力隊の会の事務局長を務め、東日本大震災10年目には会の取り組みを紹介し、震災時の御礼を全国に伝えた。東ティモールで大規模な洪水が発生した際には、協力隊時代の仲間が立ち上げたクラウドファンディングに参加し、継続してサポートできるよう、東ティモールOB会設立を検討中だ。
「市役所の業務だけでなく、協力隊の繋がりを活かし、新たな活動へのチャレンジを続けていきたいと思っています」
-
市内の中学校で出前講座を行い、国際理解教育に取り組む平出さん。協力隊経験や東ティモールの伝統織物『タイス』を紹介。
-
職場の上司と部下であり、協力隊OB同士でもある植木課長と。公私ともに交流し、お互いを尊敬しあう間柄。
-
駐日オランダ大使館からチューリップの球根が寄贈された。小学校で児童が育てた一部は、聖火リレーのコースに配置され、沿道を華やかに盛り上げた。
-
平出 将孝さん
Profile - 福島県出身。大学卒業後、郡山市役所に入庁。市民課、ソーシャルメディア推進課での勤務を経て、2017年に青年海外協力隊に現職参加。手工芸隊員として、東ティモール観光省文化庁の芸術文化創造局に配属され、芸術文化事業の推進を担当。帰国後、同市役所に復職し、2020年4月から文化スポーツ部国際政策課にて、ホストタウン交流事業や国際交流協会の運営に従事する。
- 新たな事業の推進役として期待
-
平出さんは誠実で責任感が強く、同僚からの信頼も厚く、協調性と連携を大事にしながら業務をしています。協力隊経験を活かし、新たな仕事にも積極的に取り組んでくれています。郡山市では今、脱炭素社会の実現やDX化※の推進、SDGsの課題解決、そして持続可能な地域づくりが求められています。協力隊の経験を踏まえた新たな政策立案や事業展開、さらには多文化共生推進の実行役として期待しています。
※デジタル・トランスフォーメーションの略。IT技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革させるという概念。
- 郡山市文化スポーツ部 国際政策課 課長
- 植木 一雄さん