日本も元気にするJICA海外協力隊 兵庫県

織田 芳孝さん

織田 芳孝さん 青年海外協力隊
Yoshitaka Orita

オリタ企画 代表/フォトグラファー

【職場】
兵庫県
【職業】
フォトグラファー
赴任国
スリランカ民主社会主義共和国
/インドネシア共和国
スリランカ民主社会主義共和国/インドネシア共和国
【赴任地】
キャンディ/南スラウェシ州マカッサル市
【職種】
サッカー/デザイン
【派遣期間】
1999年7月~2001年7月/
2016年10月~2018年10月

他人と異なる視点を活かして
社会に様々なベネフィットを届ける

自身の技量を試す挑戦心と身軽さは、青年海外協力隊での経験が土台となっている。
“良いデザイン”を伝えることは、社会も世界も豊かにする。
そんな想いを胸に一対一の関わりを連ねて、地域と地域、国と国とをつないでいく。

“良いデザイン”とは、を伝え
一緒に考えていく
“良いデザイン”とは、を伝え 一緒に考えていく
 2度目の青年海外協力隊として織田さんが赴いたのは、東部インドネシアの拠点である南スラウェシ州マカッサル市。中小企業協同組合局に新設されたパッケージセンターで、現地のパッケージデザインレベルの向上に取り組んだ。
 「中小企業が自社商品の持つ可能性を高めるため、法令遵守や経済性、安全性などを考慮したパッケージを自ら考案したり、デザイナーと協業して完成させることを目標に活動しました」
 一からのセンターの立ち上げだったが、理解ある上司と優秀な同僚に恵まれ、活動は驚くほど順調に進んだという。センター立ち上げから活動終了まで、支援を実施した企業は182を数えた。
 織田さんが一番印象に残っている案件は、地方の講習会で出会った女性から相談された、自然由来の素材でつくった洗顔料のパッケージ。最初はあれもこれも盛り込みたいというデザインだったが、伝えたいことを一緒に整理した上で、パッケージの形状も変更したところ、売上が倍になった。
 「“良いデザイン”とは、目標を達成できるコミュニケーション手段だと考えています。インドネシアでは、あなたの代わりに、消費者に商品の魅力を伝えてくれるものですよ、と話していました」
 織田さんは、自身の任期終了後を見据え、デザイナーや印刷会社など、外部人材や団体と連携し得るコミュニティも立ち上げた。
世界の課題の実体験は今に活きる大きな力
 初めての協力隊参加のきっかけは、電車の中吊り広告を見たことだった。「当時は新卒で社会経験もないままの参加でした。キャリアを積み、以前とは違う景色や考え方ができるのではと、2回目の参加を決めたんです」
 派遣されたのは多民族・多言語国家のインドネシア。約300の民族と約700の言語が存在すると言われている。“多様性の中の統一”を掲げるこの国で、様々なバックグラウンドをもつ人々がそれぞれの働き方や暮らし方をしながら一つの社会を形成していることを、織田さんは目の当たりにした。
 「言語や地域特性の違いという多様性を理解し、それをデザイン、商品開発にどう活かせるか。それを実体験できたことは、大きな財産となりました。また、日本でも世界でも解決すべき課題として、社会活動と切っても切り離せないSDGs。インドネシアで、その課題を間近で見たり感じたりできたことは、SDGsを具体的にイメージできる力となって、今に活かされています」
 帰国後も、同僚からデザインに関する相談を受けるなど、インドネシアとのつながりを大切にしている。配属先がオンラインセミナーを実施した際には、織田さんがスピーカーとして登壇したことも。「現在、私はフリーランスのため、企業のような大きなことはできません。しかし、私の経験を活かして、発信していくお手伝いはできると思っています」
目の前の人の力になることが
社会や世界につながっていく
 一対一のつながりは、一見すると小さなことかもしれないが、それが連なることで世界につながると語る織田さん。
 「私と関わった人たちは、インドネシアとつながり、インドネシアの人々も、私を通じて日本とつながっています。グローカルという言葉がありますが、その視点で地域社会と関わりながら、私という存在が、地域と地域、国と国をつなぐきっかけになればよいと思っています」
 現在、織田さんはフォトグラファーとして活動。撮影のほか、デザインや企画、コンテンツ制作などのコンサルタント業務もこなす、マルチ広報マンだ。
 インドネシアからの帰国後に選択した、フリーランスの道。自分自身の価値や技術を試したいという思いと、インドネシアでの活動を通じて、自分で物事の是非を判断する責任と楽しさを知り、選んだ道だという。
 「物事を多角的に見ることや、自身の価値観に縛られるのではなく、様々な可能性を踏まえて相手を受け入れることが大事であると、スリランカとインドネシアで学びました。相手のニーズをキャッチし、応え、期待を上回る提案ができるよう常にアンテナを張り、自身の引き出しを増やすよう意識しています」
 “世界は広くて狭い”。国や会社という枠にとらわれず、クライアントとは異なる視点で、商品やサービス、活動のベネフィットを世の中に発信し、それを通じて人々の豊かな暮らしに貢献すること。織田さんはそれが自分の仕事と考えている。
  • 様々な視点で被写体を捉える撮影という仕事は、自身が活きる分野だと感じている
    様々な視点で被写体を捉える撮影という仕事は、自身が活きる分野だと感じている。フリーランスとして自身の価値や技術を試したいと挑戦を続けている。
  • “クライアントとは異なる視点”が強み
    “クライアントとは異なる視点”が強み。撮影だけでなくデザインや企画の経験を活かして企業のお手伝いをしている。
  • 商品の魅力を伝えられるよう、ビジュアルにこだわって撮影に臨む織田さん
    商品の魅力を伝えられるよう、ビジュアルにこだわって撮影に臨む織田さん。クライアントの期待を上回る提案、結果を出せるように常に意識している。
織田 芳孝さん
Profile
 兵庫県出身。大学卒業後、青年海外協力隊に参加。スリランカに派遣され、サッカー指導に携わる。その後、国内の菓子メーカーで商品企画や店舗開発、撮影業務などを担当。39歳の時、再び協力隊に参加。インドネシアに派遣され、デザインを通じた中小企業支援を行う。現在は撮影を中心に、デザイン制作やコンサルタント業務、講演などに取り組んでいる。
織田さんへのエール! 努力と研究を積み重ね、更なる活躍に期待
 織田さんはインドネシア派遣前まで当社に勤務、今も付き合いがあります。自分に与えられた仕事を妥協せず、とことん極めるための努力や研究を怠らない人です。30代での仕事の取り組みと協力隊の経験から、以前はあった仕事に挑む際の近寄りがたい雰囲気も丸くなり、相手に寄り添う関わり方ができるようになったと思います。これまでの体験をもとに、広い視野で世界の情勢や変化を敏感に察知しながら、社会に貢献して欲しいと思います。
株式会社長﨑堂 取締役副社長 荒木 志華乃さん
株式会社長﨑堂 取締役副社長
荒木 志華乃さん
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