ビジネスコースの開講~リーダーシップを発揮するために不可欠なスキルについて学ぶ~

2019年6月27日

鳥谷講師

 
 2019年6月11日から15日かけての5日間、ベトナム日本人材開発インスティチュート(以下VJCC)にて、鳥谷陽一講師による講義「効果的コミュニケーションとチームビルディング」が開講されました。はじめの3日間は一般応募者約15名を対象に、残りの2日間は、経営塾(※1)12期生のDuc社長が経営するGAMA社(※2)の社員約30名を対象に行われました。

 VJCCでは、ベトナム企業の中間管理職・現場リーダーを対象に、主に人事管理や生産管理について、必要とする知識を科目ごとに学べる短期集中型のビジネスコースを実施しています。 

グループ演習の様子

グループでまとめた意見を発表している様子

グループ演習の様子

 鳥谷講師は、大学院客員教授、人事コンサルタントとして幅広く活躍されており、組織・人事戦略に関わるコンサルティングや、評価報酬制度設計など大型プロジェクトの統括、マネジメント研修プログラムの開発、などの豊富な経験をお持ちになっています。

 今回の講義は、4~6名ごとのグループによる演習を主体として行われました。受講生は個人そしてグループでの演習を通じて意見を出し合い、発表による共有を行うことで理解を深めました。リーダーシップについて考える演習では、リーダーに必要な要素として「何のために」「何がしたいか」というビジョンを明確にし表明すること、成果への責任感を持ちつつも、プロセスにおいては時にメンバーと同じ視点で取り組むこと、メンバー同士がお互いの人間的な側面を知れるような機会を提供すること、などの意見が挙げられました。リーダーシップを発揮するためには、まずチーム内でのコミュニケーションを十分に図り信頼関係を築く必要があることを学びました。

 鳥谷講師はコミュニケーションにおいて「傾聴する力」が重要であることを説明されました。相手の話を聴くことにより、話し手はモチベーションが上がり、聴き手は自分の視野や気付きを広げることができるので、お互いにとってプラスの影響をもたらすからです。また、聴く姿勢の前提として「相手に興味関心を持つこと」が不可欠であること、相手の話を自分の言葉で要約し復唱することで「相手の気持ちを理解したこと」を示すことが効果的であること、などが紹介されました。
 また「質問すること」の重要性についても説明されました。あらゆる角度から質問を投げかけて相手の思考を揺り動かすことで、話し手は弱みや真意を口にし、課題を自己解決しやすくなるからです。したがって、相談を持ち掛けられたときは、解決策を提示するよりも質問して相手の話を聴くことの方が効果的であると説明されました。

 受講者からは、「実用的な知識を学ぶことが出来た。」「私たちの質問や意見に対し、様々な知識を交えながら分かりやすく解説して下さった。」「具体例を用いた説明が多く理解しやすかった。」などの声が挙げられました。ベトナムでは、未だ上意下達の指揮命令が組織運営の中心となっており、上司が部下に質問したり部下の意見を傾聴し吸い上げることは、新たな気づきであり、各自のモチベーションの向上や組織の活性化に繋がるものです。受講者一人一人が今回学んだことを職場または実生活で活用することで、より良いチームワークが構築されることが期待できます。

受講生と記念写真

(※1)経営塾とは、ベトナムの企業経営者・幹部を対象に行われる日本式経営の研修。ベトナム産業界を牽引する経営者の育成を目的としており、月5日間の授業及び実践が約10か月にわたり行われます。2009年から始まった本プログラムはVJCCの看板事業でもあり、今年で10年目を迎えます。

(※2)GAMA社とは、エレベーターやエスカレーターの組立・整備を行う企業で、2007年に設立されました。イタリアから取り入れた組立技術をもとに、主に家庭用エレベーターの提供を行っています。現在は、第四次産業革命に伴い変化する社会のニーズに応えられる商品を提供することを目標に掲げています。

【画像】

GAMA社の方々と記念写真