JICAでは、日本とは大きく生活環境(気候・ライフライン・文化背景等)や医療事情が異なる開発途上国に、長期間生活の場が移るという特殊性を考慮し、JICA海外協力隊の選考に際し、健康審査を慎重に行った上で、派遣の可否ならびに派遣国を判断します。
応募時に提出する問診票の記入にあたっては、アレルギー、怪我等、完治した傷病も含めて正確に申告してください。既往症をお持ちであるにも関わらず、申告がされなかった場合、または問診票の申告内容に虚偽があることが判明した場合、派遣期間の短縮または派遣自体を中止する場合があります。この場合、手当や旅費等の返還をしていただくことがあります。
応募者用マイページにエントリーし、各募集期の各募集期専用の健康診断書へ記入の上提出してください。他様式での提出は受け付けておりません。
■提出先
〒108-6102
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB 棟2階
品川イーストクリニック
JICA海外協力隊 健康審査係
※提出先への郵送料は自己負担となります。
健康判定審査基準はお伝えできませんが以下の一般的な基準値をご確認いただき、日ごろからご自身で健康管理をお願いします。選考への影響についてはお答えできませんのでご了承ください。
検査項目 | 基準値 | この検査でわかること | |
---|---|---|---|
身体測定 | 身長・体重測定BMI | BMI 18.5以上 25.0未満 | 肥満、やせの確認 |
腹囲 | 男性 85㎝未満 | 内臓脂肪型肥満の有無 | |
女性 90㎝未満 | |||
血圧 | 収縮期血圧 129㎜Hg以下 | 高血圧や低血圧の有無 | |
拡張期血圧 84㎜Hg以下 | |||
視力 | 裸眼視力で1.0以上 | 近視、遠視の有無 | |
聴力 | 1000Hz 30dB以下 | 聞こえ方に異常がないか確認 | |
4000Hz 30dB以下 | |||
血球検査 | 白血球(WBC) | 3.1~8.4 10³/μL | 多すぎや少なすぎによる疾患がないか確認 |
赤血球(RBC) | 男性 410~530X10⁴/㎜³ | 多すぎや少なすぎによる疾患がないか確認 | |
女性 380~480X10⁴/㎜³ | |||
ヘモグロビン(Hb) | 男性 13.1-16.3g/dL | 主に貧血の有無を確認 | |
女性 12.1-14.5g/dL | |||
ヘマトクリット(Ht) | 男性 39~52% | 主に貧血の有無を確認 | |
女性 35~48% | |||
血小板 | 14.5~32.9 10⁴/μL | 多すぎや少なすぎによる疾患がないか確認 | |
肝・胆機能検査 | AST(GOT) | 30U/L以下 | 肝臓の機能について確認 |
ALT(GPT) | 30U/L以下 | ||
γ-GPT | 50U/L以上 | ||
ALP | 100~280IU/L | ||
総蛋白(TP) | 6.5~7.9g/dL | 低い値による疾患がないか確認 | |
糖尿病検査 | 空腹時血糖 | 99mg/dL | 糖尿病の有無を確認 |
HbA1c | 5.5%以下(NGSP) | ||
脂質検査 | 中性脂肪 | 30~149mg/dL | 動脈硬化のリスクの有無を確認 |
HDL | 40mg/dL以上 | ||
LDL | 60~119mg/dL | ||
肝機能検査 | クレアチニン | 男性 1.00mg/dL以下 | 肝臓の機能について言確認 |
女性 0.07mg/dL以下 | |||
eGFR | 60.0mL/分/1.73㎡ 以上 | ||
尿酸 | 2.1-7.0mg/dL | 多すぎや少なすぎによる疾患がないか確認 | |
呼吸器 | 胸部レントゲン | 異常なし | 肺や心臓に異常がないか確認 |
循環器 | 心電図 | 異常なし | 心臓の機能に異常がないか確認 |
尿検査 | 蛋白 | 陰性(-) | 肝臓に異常がないか確認 |
糖 | 陰性(-)、弱陽性(±) | 糖尿病の有無を確認 | |
潜血 | 陰性(-)、弱陽性(±) | 尿路系の異常がないか確認 |
<参考>日本人間ドック学会 基本検査項目/判定区分 https://www.ningen-dock.jp/other/inspection
下記の疾患をお持ちの方(疾患によっては既往症も含む)は、JICA海外協力隊としての派遣は困難です。あらかじめご了承ください。
病名等 | 派遣不可理由 |
---|---|
心疾患・脳血管疾患 | 異常の早期発見や適切な対処が困難であり、開発途上国での管理は非常に困難なため。 |
悪性腫瘍(癌) | 現在治療中あるいは手術後の経過観察中の場合は異常の早期発見や適切な対処が困難であるため。 |
精神科・心療内科疾患 | 治療中の場合、途上国で悪化する危険性が高いため。 |
糖尿病 | インシュリン注射による治療中(既に症状が治まっている方も、インシュリン注射を使用している場合は同様)、血糖コントロールが不良の方や、既に合併症を併発している方などは、開発途上国での管理は非常に困難なため。 |
肝機能障害・腎機能障害 | 著しい肝機能障害、腎機能障害がある場合、開発途上国での管理は非常に困難なため。 |
胃・十二指腸潰瘍 | 活動性の胃・十二指腸潰瘍を認める場合、開発途上国での管理は非常に困難なため。 |
その他 | 注射治療中(自己注射を含む)の方:主治医の指示のもと継続治療が必要な状態であることに加え、現地での医療器具および医薬品の確保・衛生的保管が困難なため。 |
下記の疾患をお持ちの方(既往症を含む)は、開発途上国での活動中に再発や症状の悪化がみられる場合があるため、健康審査の結果、派遣不可となる場合があります。あらかじめ主治医とよくご相談の上ご応募ください。
病名等 | リスク、留意点 |
---|---|
精神科・心療内科疾患 | 既往歴のある方は環境の変化やストレスによって再発する可能性があります。文化や母国語が違う国での治療は非常に困難です。 |
高血圧症 | 未治療やコントロール不良な高血圧症は合併症を併発する危険があります。 |
気管支喘息 | 現在治療中の方や最近発作を起こした方は、環境の変化やストレス等により発作を起こしやすくなります。 |
結核性疾患 | 現在治療中あるいは治療直後の方は、経過観察が必要です。 |
痔 | 現在症状のある方や手術直後の方は、食生活の変化により容易に悪化する可能性があります。 |
貧血 | 派遣先にはマラリアをはじめ、貧血を悪化させる感染症が流行している地域があります。貧血傾向の方がそうした感染症に罹患すると非常に危険です。 特に鉄欠乏性の貧血になりがちな女性は、日ごろから食事などで鉄分の摂取を心掛けることが重要です。 |
アトピー性皮膚炎 | 派遣先の気候や生活環境によっては皮膚の清潔が保ちにくくなり、症状を悪化させる可能性があります。日常的な保湿による再燃や悪化の予防と、状態に応じセルフケアができることが重要です。 |
整形外科疾患 | 派遣先の交通事情、生活環境等により症状が悪化する疾患があります。 |
婦人科疾患 | 月経不順をはじめ婦人科疾患で治療中、または治癒直後、手術直後の方は、一定期間の経過観察が必要です。また、月経不順や過多月経を治療せず放置した場合、症状が悪化することがあります。 |
アレルギー | 日本にはないアレルギー要因物質と接触して、突然強いアレルギー症状が出ることもあります。アナフィラキシーの既往がある場合、日本と比べ医療事情が悪いため注意が必要です。 |
極度の肥満・やせ | 肥満は様々な生活習慣病を引き起こす健康の大敵です。また、極度のやせの方は抵抗力が弱いため病気にかかりやすいうえ、病気になった場合は、治療期間が長引く可能性があります(BMI一般的基準値:18.5以上25.0未満)。 |
その他定期検査を要する疾患 | 1ヵ月毎、3ヵ月毎のように定期的な検査や診察が必要と判断される場合、病状により、派遣不可と判断される場合があります(歯科治療(虫歯、インプラント、矯正等)含む)。 |
日本では、日常生活に支障がない、あるいは治療の必要がない疾患でも、高地での環境(低気圧・低酸素・極度の乾燥)により持病が悪化する可能性があります。特に循環器疾患・呼吸器疾患・生活習慣病(高血圧症・脂質異常症・糖尿病・高尿酸血症・肥満症等)が既往症としてある方や年齢の高い方は、高地の環境に適応しづらくなります。
ご自身が応募される国の首都や任地が高地であるか確認の上、応募前に、ご自身の健康状態を把握し、主治医と十分相談して応募の可否についてご検討ください。
*標高2,000メートル以上の地域がある国
地域 | 国名 |
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アジア地域 | ブータン |
アフリカ地域 | エチオピア、ケニア |
中南米地域 | メキシコ、グアテマラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア |
髄膜炎菌感染症の予防には、ワクチンが有効ですが、本邦で使用が承認されているワクチン(商品名:メナクトラ)には、56歳以上への試用経験が少なく有効性・安全性が確立されていないと言われているため、予防接種を受けることが困難です。そのため、応募者で訓練所入所時に56歳に達する可能性のある方(応募時で54歳以上)は、原則として以下のリストにある国への応募はできません。
髄膜炎菌感染症のリスクのある国(派遣休止国) |
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ガーナ、セネガル、ベナン、ガボン、カメルーン、ウガンダ、エチオピア、ケニア、ジブチ、タンザニア、ルワンダ(ブルキナファソ、スーダン) |