健康と安全は、まず本人の意識と行動が基本ですが、現地ではJICAスタッフが隊員の活動を様々な側面からサポートしています。
途上国は日本とは異なり、感染症などの様々な健康リスクがあります。その中で活動する際に最も重要なことは「健康と安全は自分自身で自己管理し守ること」です。JICAでは隊員が派遣期間を通して心身ともに健康な状態で活動ができるよう、様々な側面から隊員の健康を支援しています。
受入国によっては日本の看護師免許取得者である在外健康管理員を配置し、派遣中の健康相談、健康診断、傷病への助言・指導などを行っています。また、保健・医療事情が様々な受入国において隊員がより信頼のおける医療が受けられるよう、必要に応じて現地医師と顧問医契約を結んでいます。派遣前訓練では健康管理についての講話、受入国で流行している感染症の情報提供、帰国後の健康診断の実施など、派遣前訓練から隊員の健康状態を把握し、帰国までに健康に活動できるようサポートしています。
現地では対応できない重篤な傷病や事故が発生した場合、契約の保険会社を通して、医療体制が整った国や都市に移送します。
途上国の脆弱な医療事情を勘案し、以下に例示するワクチン接種を完了した方を派遣しています。
※過去の予防接種や、国の事情により個別に対応しています。
病気や怪我、障害、死亡等に備えて、次のような制度があります。
日本は世界の国々の中でも極めて治安の良い国の一つです。欧米先進国を含む各国、特に開発途上国においては一般犯罪、テロ、誘拐、クーデターなどが日本に比べて高い確率で発生しています。また、ほとんどが舗装路である日本と比べると多くの開発途上国の道路状況は良いとはいえません。加えて、整備不良の自動車が多く、運転マナーや交通事情の違う開発途上国では交通事故にも注意する必要があります。したがって、受入国で生活する場合には、各個人が犯罪や事故防止などしっかりした危機管理意識を持つことが重要になります。JICA では隊員が犯罪や交通事故に遭わないよう、以下のような安全対策を実施しています。
派遣前訓練で任国事情や安全対策に関する講座を設け、現地の治安、交通状況等について説明しています。受入国到着後は、着任時オリエンテーションで受入国特有の状況や対策(犯罪防止策、交通安全対策、公共交通機関利用時の注意等)の説明を行い、さらに JICA 海外協力隊を含めた JICA 関係者が参加して開催する安全対策連絡協議会などを通して安全管理意識を高めています。
隊員の住居は原則として受入国政府が提供することになっていますが、防犯のために扉や窓を補強する必要がある場合があります。このような補強は建物所有者が実施する場合のほかに、JICAが補強を支援したり、警備員を配置するなどにより住居の防犯を徹底しています。
日本のように通信網が発達している開発途上国は多くありません。携帯電話、無線機や衛星携帯電話など、緊急時の連絡手段を確保しています。
JICA は各国の治安状況に応じて渡航制限を行っています。自分の受入国であっても立入禁止区域があったり、周辺国でも入国を制限する場合があります。
選挙やクーデターなどで受入国の治安情勢が悪化し、JICA 関係者の安全確保が困難になると判断される場合には、受入国内の安全な場所への一時的な避難や国外退避(周辺国や日本)を行う場合があります。治安状況が安定しない場合には、任地や受入国を変更する場合もあります。なお、外務省海外安全ホームページで各国の安全情報を見ることができますので、応募される方は確認することをお薦めします。