熊本でウクライナ支援に貢献 ~多文化共生のまち玉東~

JICAインターン生 櫻田 こころさん
実習場所:熊本県玉東町

澤村啓之(さわむらひろゆき)さんは、JICA海外協力隊員としてインドに派遣される前に「グローカルプログラム」に参加、熊本県北部に位置する玉東町(ぎょくとうまち)で活動をしています。赴任先インドでの活動は、インド人学生の就職支援。そして玉東町役場のプログラムは町が行うウクライナ避難民の受入れ、そして就労支援もあったため、場所や対象は違えど、今後の隊員活動へのヒントを得るために玉東町を選んだといいます。澤村さんは過去に実施してきたキャリア相談や外国で働いていた経験を活かし、町に貢献していました。

澤村さん 澤村さん

玉東町ではウクライナからの避難民受け入れを町全体で積極的に取り組んでおり、澤村さんが活動を始める前から、地域おこし協力隊や玉東町役場による就労支援も始まっていました。

そんな玉東町でのウクライナ避難民の就労支援に澤村さんが携わったところ、 「やりたい仕事」に就く、というよりも「やれる仕事」に就く、という考え方で支援をするため、これまで澤村さんが経験してきた一般的な求職活動のステップとは大きく異なったそうです。支援する側、される側双方で厳しい現実に直面します。
ある男性とは、何度も本人と面談をし、いくつもの企業への書類応募、面接を繰り返しました。中々就職先が決まらず、徐々に男性に焦りが見え始めました。そのような状況下でも澤村さんは、共に支援を行う地域おこし協力隊や役場担当者と連携をしながらハローワークの情報や企業の採用可能性を調べ、可能性がある企業には直接出向き、彼の人間性や能力のPRを積極的に行いました。それと同時に、本人とこまめにコミュニケーションを取ることで、彼のメンタルケアも行なったといいます。
そしてついに嬉しい報告が舞い込んできました。採用が決まったあとは男性の表情も見てとれるほど明るくなったそう。
澤村さんは他にも、町の夏祭りで町に住むウクライナ人が手作りしたうちわを配布するという企画を進め、地域住民とウクライナ人とのつながりをより強くするきっかけを作りました。「うちわは300個作ったが、それだけでは足りなかった」 そう話す澤村さんには笑顔が浮かんでいました。

実は澤村さんは2018年にも協力隊としてザンビアに派遣され、現地学校運営の改善のために力を尽くしていました。ところが派遣期間が終わろうとしていた2020年、世界的なパンデミックの影響で協力隊の緊急帰国が余儀なくされ、澤村さん自身も、活動の締めくくりやザンビアでお世話になった職場にあいさつすらできないまま、帰国することになりました。
「このままでは終われない。」
そう思った澤村さんは、満を持して協力隊に再度応募し、インドに派遣されることに。「派遣前に若者と交流したい」という思いからグローカルプログラムに参加しました。

左から澤村さん、同じく実習生の北澤さん、協力隊経験者でもある玉東町役場の渡邉さん、地域おこし協力隊の稲井さん 左から澤村さん、同じく実習生の北澤さん、協力隊経験者でもある玉東町役場の渡邉さん、地域おこし協力隊の稲井さん

玉東町で町民の皆さんと協力して活動してきた澤村さん。同時期に玉東町でグローカルプログラムに参加し、小中学生への異文化理解教育などを共に実践したグローカル実習生の北澤さんと共に、グローカルプログラムが終わっても玉東町との繋がりは続いていくだろうと感じました。